アフリカンシクリッドの【種類と飼育】。水槽レイアウトや餌はどうする?

アフリカンシクリッドはとても「カラフル」で「種類」も豊富。
また「繁殖形態」の面白さも人気の要因ですね。
一方、産地によって「飼育方法」に多少の差があるため、難しいと思われがち。
でも「水質管理」さえできれば、丈夫で飼いやすく、また子育ての様子も観察できるとても魅力的な魚種なんです。
今回は、アフリカンシクリッドの飼育(水槽レイアウト・水質管理・餌)についてお話ししましょう。
アフリカンシクリッドの種類
まずはアフリカンシクリッドを「産地」で分けてみましょう。
- 東アフリカ産:マラウィ湖・タンガニーカ湖(リフトレイク群)など
- 西アフリカ産:コンゴ川流域の熱帯雨林・その他の沿岸域など
それぞれに魅力的な種類がいますよ。
今回は、主に中~大型のアフリカンシクリッドを紹介しています。
まずは「リフトレイク産」のシクリッドを見ていきましょう。
スキアエノクロミス・フライエリー(通称アーリー)
- 分布:マラウィ湖
- 全長:15cm
- 水質・水温:中性~弱アルカリ性・25~27℃
- コメント:メタリックブルーが魅力的。エサ食いがよく初心者向き。
イエロー・ピーコック
- 分布:マラウィ湖
- 全長:12cm
- 水質・水温:中性~弱アルカリ性・25~27℃
- コメント:美しいイエローが新鮮な印象。改良種も多い。飼育は容易。
ネオランプロローグス・テトラカンサス
- 分布:タンガニーカ湖
- 全長:15cm
- 水質・水温:中性~弱アルカリ性・25~27℃
- コメント:パールスポットが美しい。繁殖が容易なのでペア飼いがおすすめ。
アルトランプロローグス・カルバス(ブラック)
- 分布:タンガニーカ湖
- 全長:12cm
- 水質・水温:中性~弱アルカリ性・25~27℃
- コメント:パールスポットが美しいポピュラー種。大型のレイアウト水槽で飼うのがおすすめ。
キフォティラピア・フロントーサ
- 分布:タンガニーカ湖
- 全長:35cm
- 水質・水温中性~弱アルカリ性・25~27℃
- コメント:大型シクリッドの代表魚の1つ。体色の美しさを保つのはやや難しい。
続いて「西アフリカ産」のシクリッドを見ていきますよ。
ペルヴィカクロミス・タエニアータス
- 分布:西アフリカの河川流域(地域変異が多い)
- 全長:8cm
- 水質・水温:弱酸性~中性・25~27℃
- コメント:「アフシク」を代表する美魚とも。入手は比較的困難。
レッドジュエル・フィッシュ(ヘミクロミス・リファリリィ)
- 分布:コンゴ川・ザイール川など
- 全長:8~10cm
- 水質・水温:弱酸性~中性・22~26℃
- コメント:濃い赤とブルースポットが印象的。気性が荒いので単独・ペア飼いで。
ライオンヘッド・シクリッド
- 分布:コンゴ川
- 全長:10cm
- 水質・水温:弱酸性~中性・24~26℃
- コメント:頭部のコブが特徴(オス)。縄張り意識が強い。繁殖は比較的容易。
続いて、アフリカンシクリッドの「飼育方法」についてお話ししましょう。
アフリカンシクリッドの飼育方法:水槽レイアウト・水質管理・餌
まずは一般的な水槽レイアウトから。
- 水槽:30~45cm(ドワーフ種用・トリートメント用)・60cm以上がベター
- 砂利:サンゴ砂か硅砂(弱アルカリ性)・大磯砂(弱酸性)・ソイル(弱酸性)など
- 岩組み:川石・岩・ブロック・流木など(角の丸いものを塩抜きして用いる)
- 水草:ヴァリスネリア・サジタリア・バリスネリアなど
- ヒーター:ヒーターはサーモスタット付きがベター
- 照明:水槽の大きさに合ったもの(セットには付属)。照明時間は10~14時間。
- 水温計:魚の好む水温を維持する ※各種類の項参照
- 飼育水:魚の好む水質をつくる ※水質の項参照
- ろ過フィルター:底面式・上部式など ※メンテナンスの項参照
- その他:pHメーター(pHの確認)・亜硝酸テストキット(水質のチェック)
アフリカンシクリッドは「遊泳力」が高いため、繊細なレイアウトより「空間の確保」を重視したほうがよいでしょう。
「岩組み」は、魚たちのシェルターや稚魚の成育場所にもなります。
魚の体を傷つけないものを選んで配置しましょう。
アフリカンシクリッドは「混泳」には向かず、また自然繁殖の可能性もあります。
1つの水槽(45~60cm)で同じ種類を2~5尾飼うのが基本です。
※「繁殖」については、また稿をあらためてお話しますね。
次に「リフトレイク産」と「西アフリカ産」の魚種が好む水質について見てみましょう。
リフトレイク産は中性~弱アルカリ性の水質が基本
「中性(pH7.0)~弱アルカリ性(7.8~8.0)の硬水(ミネラル分が多い)」を好みます。
底砂やろ材には「サンゴ砂」か「硅砂(けいさ)」を用います。
サンゴ砂や硅砂を用いてベースを作ったあとに上質の「人工海水」を規定量の1/15~1/10ほど融解させると完成です。
また細かな調節には「水質改良剤(pH上昇・安定剤)」を用いるとよいでしょう。
サンゴ砂は飼育水中の亜硝酸などと緩衝して徐々に溶け出していきます。
半年ごとに新しいものと取り換えましょう。
弱アルカリ性の飼育水は、立ち上がるまで4~5日ほどかかります。
お気に入りのシクリッドをタイミングよく迎えられるようにあらかじめセットしておきましょう。
西アフリカ産は弱酸性~中性の水質が基本
「弱酸性(ph5.5~6.5)~中性(pH7.0)の軟水(中等度の硬水)」を好みます。
底砂やろ材には「大磯砂」や「ソイル」を用います。
大磯砂は汚れると急激に酸性に傾かせることがあるので、注意が必要。
またソイルは手軽であるが効果の持続に限界があるため全体的な交換が必要です。
60cmまでの水槽に用いるとよいでしょう。
日本の水道水は中等度の硬水(軟水に近い)であるため、硬度は気にする必要はありません。
続いて餌の種類についてお話しましょう。
餌はどうする?
大食漢の多いシクリッド。
水質と並んで餌も重要なポイントですよ。
餌の種類には、それぞれメリットとデメリットがあります。
上手に使い分けていきましょう。
- イトミミズ(生餌):栄養価が高い。酸欠に弱いのでエアレーションをして保存する。
- アカムシ(生餌):乾いた新聞紙に薄く敷き、冷蔵すると3~4日は保存可能。
- ブラインシュリンプ(生餌):自家繁殖できるので安定して供給できる。
- 冷凍飼料:生餌に近い感覚があり、人工飼料よりエサ食いがよい。
- フリーズドライ飼料:オキアミ(クリル)など。エサ食いはよいが、栄養バランスが偏りがち。
- 人工飼料:エサ食いが悪いこともあるが、栄養バランスがよい。形状や用途はさまざま。
この中で「ブラインシュリンプ」は熱帯魚一般の稚魚の飼育に欠かせません。
自家繁殖も比較的容易なのでおすすめですよ。
ブラインシュリンプについては以下の稿を参考にしてみてくださいね。
餌は朝と夕に与えます。
それぞれ種類を変えるのが、エサ食いや栄養バランスの点でベターです。
冬季は水温が下がり気味で消化不良の原因となります。
2回目の給餌は少し早めにする方がよいでしょう。
また給餌が楽しいからといって与え過ぎは禁物。
外出前に多めに与えるのもやめましょう。
魚たちの健康のためにも、また水質悪化を防ぐためにも注意が必要です。
最後にメンテナンスについてまとめておきます。
定期的なメンテナンスで快適なアクアリウム環境を維持しよう
水槽は、日々の魚の排泄物や餌の食べ残しによって汚れていきます。
これらを浄化し、同時に酸素を送り込むのが「ろ過フィルター」です。
でも意外なことに、ろ過フィルターそのものが水を浄化するわけではありません。
あくまでも「ろ材」に付着し「ろ過バクテリア(細菌)」の活動によることを知っておきましょう。
アフリカンシクリッドは、「亜硝酸濃度」の低いきれいな水を好むといわれます。
そもそも「亜硝酸」とは、何なのでしょうか?
魚の排泄物や餌の食べ残しが「アンモニア」に変わり、水槽にとって有害な物質となります。
これを「亜硝酸」に変えるのが「亜硝酸バクテリア」、そしてそれを無害な「硝酸」に変えるのが「硝酸バクテリア」なのです。
この2種類のバクテリアのおかげで水質が良好に保たれるというわけですね。
最低でも1~2ヶ月に1度、ろ過フィルターの「ろ材(砂やウールマット)」を洗浄します。
このとき、せっかく付着したバクテリアをすべて取り除いてしまわないように少し汚れを残しておくのがコツです。
間違っても洗剤などを使って洗い流してはいけませんよ。
「水換え」は、2~4週間に1度、水槽の1/4~1/3を入れ換えます。
底にたまった汚れもかきだしながら行うとよいでしょう。
「底砂」も軽く水で洗い、半年に1度、半分ずつ取り換えるとよいでしょう。
リフトレイク産の魚の水槽では、人工海水を足すことを忘れないようにしましょう。
いかがでしたか?
愛情をもって飼育していれば、シクリッドたちは素晴らしい発色を見せてくれます。
また繁殖によって可愛らしい子シクリッドを増やしてくれることでしょう。
一方、シクリッドには中南米産の「アメリカン・シクリッド」も人気です。
以下の稿を参考にしてみてくださいね。
アピストグラマは種類がとても豊富。
また美しく「南米の宝石」と呼ばれるほどなんです。
また小型で飼いやすい魚が揃っていますね。
見比べてみると面白いでしょう。
本稿が、あなたのアクアリウムライフの参考になれば幸いです。