猫の去勢手術の方法とは。術後はスプレー行動やマウンティングはなくなるの?

オス猫の去勢手術で悩まれている方も多いことでしょう。
オスの場合、発情したメスの匂いや声に反応してさまざまな行動の変化が表れます。
スプレー行動やマウンティング、脱走など飼い主さんを悩ませることも多いはず。
去勢手術をするとこれらの行動はなくなるのでしょうか?
またその方法や術後の注意点とは?
それでは詳しくお話していきましょう。
猫の去勢手術でスプレー行動やマウンティングはなくなる?
オスにはメスのような発情はなく、発情したメスの匂いや声に誘発されて発情しますね。
このためメスを求めて外に出たがったり、大声で鳴いたりする行動が見られますね。
いつもと違うところにおしっこしたり、スプレー行動(おしっこを吹きかける)をするなど縄張りを主張することも多いはず。
また同居猫を追い回したり、マウンティングするなどの行動を気にされる飼い主さんも多いことでしょう。
去勢手術でこれらの行動はなくなるのでしょうか?
またそのほかのメリットやデメリットにはどんなものがあるのでしょうか?
まとめてみましょう。
- 望まない妊娠が避けられる
- 性格が穏やかになりケンカをしなくなる
- スプレー行動などのマーキングが抑えられる
- 発情期に脱走したり大声で鳴いたりすることが抑えられる
- 交尾ができないストレスがなくなる
- 同居猫を追い回したり、マウンティングすることが抑えられる
- 病気のリスクが減る:前立腺肥大、精巣腫瘍、停留精巣(発見されることも)
【デメリット】
- 繁殖が不可能になる
- 太りやすくなる
- 行動が鈍くなる
- 手術そのもののリスクがある(特に全身麻酔の影響)
特に散歩猫の場合、家で買う予定のない猫を増やしてしまうことにもなります。
また室内猫の場合、繁殖させる予定がない場合、発情期のたびに大きなストレスを与えることになるでしょう。
オスの場合は「去勢手術」、メスの場合は「不妊(避妊)手術」と呼ばれますね。
オスの去勢手術の適齢期は、最初の発情を迎える生後6~8ヶ月ごろと言われます。
精巣(睾丸)の除去が行われます。
精巣を包む陰嚢の皮膚を1cmほど切開する(所要時間10~20分)ことになります。
メスと異なって開腹や腹腔鏡などの方法は必要ないので、日帰りが通常です。
麻酔も猫の負担が少ないもの(ガス麻酔など)が開発されています。
また傷を縫合する糸も体内で自然に溶けるたんぱく質でできたもの(抜糸が不要)が用いられるなど負担は減っています。
手術時のリスクはそれほど心配する必要はないでしょう。
しかし、「停留精巣(精巣がお腹に留まる病気)」が発見された場合は、開腹手術が必要になります。
費用は、手術前の検査の項目や麻酔の種類、設備などの違いで動物病院ごとに幅があります。
愛猫や家族にとって最良の決断ができるよう、さまざまな要素を考え併せてみましょう。
また各市区町村では猫の去勢手術に助成金(補助金)が支給される場合があります。
飼い猫の場合、多くは数1,000円程度ですが、制度の有無や申請方法、条件などについては各市区町村に問い合わせてみましょう。
術後の変化や注意点とは?
手術直後は観察が必要です。
麻酔の影響や傷口からの感染によって、必ずしも順調ではないケースもあり得ます。
- フラフラ(もうろうと)している
- じっとして眠ってばかりいる
- 傷口をずっとなめ続けている(感染・化膿の原因にも)
- 傷口が赤く腫れている(感染の可能性も)
- おしっこが出ない
- 嘔吐
- 食欲低下
気になる様子が見られたら獣医師にすぐ連絡しましょう。
手術の経過が落ち着き、しばらくたってから見られる変化もあります。
性衝動が落ち着くため、おとなしくなったり、飼い主さんの関心が向いて甘えるようになったりするようですね。
また繁殖に費やすエネルギーが必要なくなり、活動量の減少や食欲増進もみられることから、太りやすくなると言われています。
でも肥満の問題が新たに起こってしまっては健康上よくありません。
去勢後のケア用フードに切り替えたり、運動量を確保するなど対処していきましょう。
一方、発情に伴う行動はどうでしょうか?
これも性衝動がなくなるため、抑えられるのが普通です。
しかし、10%程度の猫は去勢してもあまり変化が見られないとも言われています。
これはなぜなのでしょうか?
マウンティングなどが止まらないのはなぜ?
去勢をしたのに、マウンティングやスプレー行動のほか、外に出たがったり、大声で鳴いたりといった行動が止まらないことがあります。
この理由として以下のものが挙げられています。
- 性ホルモンの生成がゼロにはならないため
- 交尾の経験がある猫の場合、以前の記憶が残っているため
- 性衝動ではなく、自分の優位性を示すために行うため(マウンティング、スプレー行動
- 性衝動ではなく、甲状腺機能亢進症(落ち着きがなくなり、食欲が増進する)症状である
去勢の目的は、望まない繁殖を避けることです。
しかし性衝動そのものをなくしてしまうものではありませんね。
やはり本能的なものを100%コントロールすることは難しいのかもしれません。
では対処法はあるのでしょうか?
発情の時期のみ、一時的なものであれば心配はいりませんね。
1週間から10日ほどで治まります。
病気ではないので見守るのも方法です。
しかしそれ以外の時期にも頻繁にみられるなら問題行動の域に入るかもしれません。
同居猫(オス)がいる場合、関係性が悪いことからストレスをためている可能性もありますね。
落ち着かない時期は、なるべく顔を合わせないように、部屋とケージを時間を決めてシェアするとよいでしょう。
食事場所や時間、寝床、トイレの場所を離すのもよいかもしれませんね。
同居猫がメスの場合も同様に、多頭(複数)飼いの注意点を参考にしてみましょう。
また屋外にいる猫の声や姿に反応している場合、カーテンでなるべく外に気が向かないようにするのが無難ですね。
飼い主さんと関わる時間を増やしたり、ほかに夢中になれるおもちゃなど用意するのも意外に効果的です。
いかがでしたか?
この稿が愛猫やご家族の幸せにつなががることを願います。