猫の便秘の治し方。バターやオリーブオイルで慢性の症状は解消できる?

猫が便秘してるみたい。
何日以上出ないと異常?
下痢はもちろん心配ですが、出ないのもやはり気になります。
軽い症状なら、バターやオリーブオイルなど脂肪分の摂取やマッサージで解消することもありますね。
でも便秘の症状が2日以上続くときは何らかの問題が起きている可能性がありますよ。
今回は猫の便秘の症状やその治し方についてお話ししましょう。
猫の便秘の原因と治し方は?
猫の便の回数は、通常は1日1~3程度です。
それがまる2日以上出ない場合は何らかの異常を疑いましょう。
ではそもそもどうして便秘になるのでしょうか?
症状と原因を簡単にまとめてみましょう。
- 元気も食欲もある(1~2日出ない):ストレス、食べ物(脂肪、線維質)、水分、運動
- 便が硬い、食欲不振、嘔吐(数日間出にくい):毛球症、巨大結腸症、肛門嚢炎、腫瘍
- ぐったりしている、お腹がふくれる(ずっと出ていない):腸閉塞
一時的な便秘であれば、しばらく様子をみてもよいかもしれません。
この場合でも何らかの原因はあるはずです。
可能性のある問題を解消していきましょう。
- ストレス要因を取り除く
- 食べ物を見直す:脂質を加える(※下の章を参照)。食物繊維の多いフードに変える。
- 水分の摂取:新鮮な水を飲ませる(高齢猫ではスポイトを使って補給)。水分の多いフードに変える。
- 適度な運動を行う:特に高齢猫の場合、運動不足から起こっていることがある。
- お腹をマッサージする:仰向けにして「の」の字を書くように行う。
- お腹を温める:湯たんぽなどでやさしく温めることで腸の働きをよくする。
数度試みても改善がみられないようなら、他の原因が考えられますよ。
毛球症や異物の誤飲を疑おう
猫はグルーミングの習性があるので、飲み込んだ被毛が胃や腸で毛糸玉状にからまってしまうことがあります。
毛をうまく吐き出せないとき「毛球症」になり、食欲不振や便秘、脱水を起こすことがありますよ。
毛球症は、毛玉を軟らかくする薬を使ったり、家庭ではオリーブオイルなどを食べ物に混ぜて排出させることもあります。
オイルは小さじの半分から1杯程度から試してみるとよいですね。
毛球症の予防に普段から小まめなブラッシングを心がけましょう。
そのほか、異物を飲み込むことで「腸閉塞」を起こすことがあります。
この場合、単なる便秘症状ではありません。
腸にガスがたまって激しい痛みを感じたり、ぐったりしてしまいます。
食べ物が逆流して激しく嘔吐したり、完全に閉塞するとショック状態を起こすこともあります。
この場合、緊急の処置が必要になりますので急いで病院に連れて行きましょう。
巨大結腸症では先天的な原因も
大腸の一部である結腸が拡張して便を押し出せなくなってしまう病気です。
便が腸にとどまり、水分がどんどん吸収されて硬くなることで便秘になってしまうんです。
先天的に腸の一部が細くなっていたり、腸の運動を司る神経の異常がある猫もいるようですね
軽い場合は下剤が使われますが、ひどくなると腸の洗浄や肛門から便を取り出す処置が行われます。
肛門嚢炎ではお尻を気にする仕草も
肛門嚢炎も珍しい病気ではありません。
肛門嚢は、特有の臭いを出す分泌液の袋です。
感染のためこの部分が炎症を起こすことで肛門の一部がふさがり、便が出なくなってしまうんです。
猫はお尻を気にして床にこすりつけたり、しきりになめたりします。
治療は、肛門嚢にたまっている分泌物やウミを排出するほか、抗生物質の投与などが行われます。
分泌物を排出できないときや何度も繰り返す場合は切除することもあります。
これらの病気のほか、消化器の腫瘍である可能性も考えられます。
精密検査が必要ですので、獣医師の診察を受けましょう。
バターやオリーブオイルで慢性の症状は解消できる?
便秘が慢性的に続くと食欲不振だけではなく、毛づやが悪くなり皮膚の張りも失われます。
ひどくなると脱水症状を起こす原因にもなります。
普段の食事内容を見直してみましょう。
もしかすると「脂質」が足りていないことが原因かもしれません。
猫に必要な栄養素は人間と少し異なっています。
猫には「ねこまんま」、「魚が大好物」というのは単なるイメージで、実際は完全な肉食。
本来は獣肉や内臓がメインなのです。
特にリノール酸やアラキドン酸というn-6系の必須脂肪酸は食べ物から摂取する必要があります。
リノール酸は、大豆油、ごま油に多く含まれます。
アラキドン酸は、レバー、肝油に豊富に含まれます。
このほか、オレイン酸という「オリーブオイル」に含まれる成分は腸の働きを促すとても重要な栄養素なんです。
毛球症のところでも登場しましたね。
オリーブオイルには、猫に必要なビタミンAも豊富に含まれているんです。
このビタミンAも食べ物から摂取する必要があります。
ビタミンAは、消化器粘膜の機能維持にも欠かせない成分なんですよ。
ビタミンAを多く含む脂質にはこのほか「バター」がありますね。
与える場合には、無塩バターの方が含有量が多いことを知っておきましょう。
また似てはいますがマーガリンには、ほんの少量(1/30ほど)しか含まれないことに注意しましょう。
いかがでしたか?
猫の便秘はよくあることです。
でも怖い病気が隠れていたり、緊急を要することもあります。
便が出たからといって安心せず、獣医師に相談してみましょう。
本稿があなたの愛猫の健康管理のお役に立てれば幸いです。