猫のてんかんの原因は?けいれん発作の症状が表れたときの対処法。

てんかんという病名を聞いたことはあるけどよく分からない。
そんな方が多いのではないでしょうか?
しかしてんかんの発作は突然起こります。
愛猫の異変にびっくりして何もできないのが普通かもしれません。
知識を持っておくことで落ち着いて対応することができます。
今回はてんかんという病気に焦点を当て、原因やけいれん発作の症状、その対処法についてお話ししましょう。
猫のてんかんの原因は2種類
てんかんは脳の神経回路に異常な電気的興奮が走ることで「けいれん発作」などを起こす病気です。
猫では0.3~1.0%の発生率と言われています。
またてんかんは大きく2種類に分けることができます。
- 症候性てんかん:脳の先天的な障害や遺伝、脳腫瘍、頭部外傷、ウィルス性髄膜炎、中毒症などが原因で起こるもの。
- 非症候性てんかん:原因不明であるが、大きな音や強い光が誘因になるもの。
症候性てんかんは、脳に原因があるため、比較的老齢の猫に発症することが多いと言われます。
非症候性てんかんは、原因不明で若い猫にも突然発症する可能性があります。
けいれん発作などの症状はどういうもの?
飼い主が愛猫の突然の異変に驚くのは当然のことですが、その中でも一番は「けいれん発作」でしょう。
てんかんは「けいれん発作」を起こす場合が多く、大きく2つのタイプに分けることができます。
- 全般発作:意識がなく、体全体を硬直させて激しいけいれんを起こす(強直・間代・強直間代発作)。
- 部分発作:意識が残っていたり、足(前足、後足だけのことも)や口など体の一部だけにけいれんを起こす。
【けいれん発作の症状】
- 強直発作:突然意識を失って倒れ、体をのけぞらせるように突っ張る。
- 間代発作:四肢を激しくけいれんさせる(四肢を伸び縮みさせる早い運動を繰り返す)。
- 強直間代発作:強直発作から間代発作に移る。
- 部分発作:口をピクピクふるわせたり、前足・後足などを部分的にふるわせる。
またけいれん以外の発作が見られることもあります。
- 口から泡やよだれを垂らす。
- 表情がうつろになって瞳孔が開く。
- 便や尿を失禁する。
- けいれんの後に昏睡状態となる。
- 性格変容が起こり、突然噛んだり、引っかいたりする攻撃的な行動が見られる。
けいれん発作は通常は2~3分以内に治まり、元の状態に戻ることが多いようです。
発作が治まっても、1時間程度からひどい場合は数日間ぼーっとした状態(もうろう状態)が続くこともあります。
一方、けいれん発作が10分以上にわたる場合(重積発作)や意識が戻らないうちに次の発作を繰り返すときは命に関わることもあります。
初めての発作が起こった時や重積発作が疑われる場合はすぐ病院に連れていきましょう。
けいれん発作などが起きたときの対処法は
けいれん発作が起きているとき、そして治まってからの対処法を見てみましょう。
- 飼い主自身が慌てないこと:猫は意識がなく、苦しんでいるわけではないことを理解しておく。
- 大きな声で呼びかけないこと:猫を刺激して発作が長引くことも。
- 体を抑えたりゆすったりしないこと:猫を刺激して発作が長引くことも。
- 猫を無理に抱き上げたりしないこと:猫を落としたり、抱き加減で骨折させることも。
- 猫には触らず、周りの危険な物を遠ざけること:発作中に動き回ってけがをさせないため。
- カーテンを閉めたり、電気を薄暗くすること:光の刺激を抑えるため。
- 発作の様子を観察すること:獣医師になるべく詳しく伝えるため。
発作時の様子は獣医師にとって、治療方針を決定する上で貴重な情報源になります。
しっかり観察して様子を伝えましょう。
- できれば動画に残しておく。
- 発作が起こった時刻と続いていた時間。
- 発作が治まった後の様子と元の状態に戻るまで時間。
- 四肢の硬直や震えの症状と部位(全身か体の一部か)。
- 発作が起こる直前の様子(何か前触れはあったか)。
- タオルや毛布でくるんで休ませる:猫を落ち着かせ、そのまま病院に運ぶこともできる。
- 観察したことを忘れないうちに整理する。
- 初めての発作であれば受診する:複数回繰り返している場合は報告して指示を仰ぐ。
てんかんの発作には前触れがあることも
発作には何らかの前触れが見られることがあります。
- 意味なくうろうろ歩き回る。
- 口をくちゃくちゃしたり舌なめづりする。
- 水を大量に飲む。
- ふいに部屋の隅に行くなど普段と異なる行動が見られる。
複数回の発作が起こっている場合、決まったパターンがあるかもしれません。
異変に早く気づいてあげましょう。
また最近の研究で、10歳以上の高齢猫は、かん高い金属音でけいれん発作が誘発されるおそれのあることが分かっています。
この症状は「猫科動物聴覚原性反射発作(FARS)」と呼ばれ、注意喚起されています。
高齢猫の場合、くれぐれも注意しましょう。
治療で用いられる薬やその副作用は
症候性てんかん(原因があるもの)は元々の病気の治療を行うことで発作を抑えることができます。
無症候性てんかん(原因不明のもの)は抗てんかん薬を用いて症状を抑えていきます。
発作の様子や頻度によって薬の種類や量を調整していくことになります。
基本的には自宅で経過観察を続けることが多いようです。
- フェノバルビタール:動きがにぶくなったり、ふらついたり、食欲が増進する。
- ジアゼパム:まれに急性肝壊死を起こすことがある。
- ゾニザミド:半減期(体内の薬の量が半分になるまでの時間)が長いと言われる。
- タウリン:他の抗てんかん薬の補助として用いられる。
発作が抑えられていれば、普段通りの生活を送ることができます。
運動も特に制限されることはないようです(水泳は危険が伴う)。
経過観察と投薬管理を続け、愛猫が健康な状態でいられるように見守ってあげましょう。
いかがでしたか?
あなたの愛猫の健康管理の参考になりましたら幸いです。