猫伝染性腹膜炎の初期症状は2パターン。原因ウィルスのタイプで発症率は変わる?

猫伝染性腹膜炎は、腎不全やがんに次いで猫の死因となる病気。
原因とされるコロナウィルスは、比較的ありふれたもので、本来毒性も強くありません。
ではなぜ恐ろしい病気なのでしょうか?
今回は、この病気の発症率、そして初期症状などについてお話しましょう。
原因ウィルスのタイプで発症率は変わる?
猫伝染性腹膜炎(FIP)の原因は、まだはっきりと解明されていません。
猫コロナウィルスが猫の体の中でFIPウィルスに突然変異を起こすことで発症するという説が代表的です。
FIPウィルスの表面にたんぱく質ができることで、体内に侵入する力が強くなり、腹膜炎を起こすと言われていますね。
一方、突然変異は起こらず、猫の免疫機能が過剰に反応しているとする説もあるようです。
いずれにせよ、原因となる猫コロナウィルスに感染すること自体は、それほど珍しいものではありません。
猫の60%以上がキャリア猫(保菌猫)と言われることもあるほどです。
このウィルスを持っていても発症していない状態を「不顕性感染」と呼びます。
FIPの確定診断も難しいため、発症しなければ気付かれないまま見過ごされてしまうということになりますね。
しかしこのうちの3~10%程度がFIPを発症するされています。
猫の種類では、純血種が80%以上で圧倒的に多く、雑種(ミックス)は20%弱。
純血種の方がよりかかりやすいという可能性もあります。
またFIPウィルスにはタイプⅠとタイプⅡがあって、タイプⅡの方が発症率が高いと言われています。
加えて、タイプⅡのウィルスは、犬との関連が指摘されています。
このため、予防法の1つとして「犬といっしょに飼わない」ことが挙げられるかもしれません。
猫伝染性腹膜炎(FIP)の初期症状は2パターン
FIPが発症すると、1~2ヶ月のうちにさまざまな症状があらわれ始めます。
症状には2パターンあって、「ドライタイプ」と「ウェットタイプ」に分けられます。
ドライタイプ(乾性)では、発熱、体重減少、眼球の白濁・出血、神経症状(けいれん、マヒ)などがみられます。
ウェットタイプ(湿性)では、腹水(お腹が膨らむ)、胸水(呼吸困難)、発熱、貧血、体重減少などがみられます。
しかし腹水や胸水、呼吸困難がみられる病気はほかにもあります。
似た症状を示すことがありますので、ほかの病気についても説明しておきましょう。
FIPは、これらの症状のほか、血液検査(抗体)や腹水検査(PCR遺伝子)などが組み合わされて診断されます。
治療は、対症療法のみで、症状を緩和させるため、ステロイド剤やインターフェロンの投与、腹水や胸水の吸引などが行われます。
では、FIPには何の手立てもないのでしょうか?
FIPの予防方法とは
FIPに特効薬はなく、ワクチンもまだ開発されていません。
しかし幸いなことにFIPを発症した猫から直接感染して、一気に蔓延することありません。
現在のところ、猫コロナウィルスに感染しないようにするほか手立てはないようです。
このウィルスは感染力は弱いものの、猫の口や鼻から入り、気管や腸で繁殖してフンといっしょに排泄されます。
ですから、ほかの猫のフンに接触させないことが唯一の手段と言えます。
- ほかの猫(野良猫、同居猫)のフンに触れさせない。
- ほかの猫のお尻の毛づくろいをさせない。
- 同居猫とはトイレを共有させない。
- フンはすぐに片づける。
- 犬と同居しない(生活スペースを分ける)。
いかがでしたか?
この稿が愛猫の健康管理の参考になりましたら幸いです。