猫の病気の皮膚症状。飼い主が見つけるしこりや赤みの原因は?

猫の病気で皮膚の表面に症状が出るのものがあります。
ブラッシングや何気ないスキンシップの最中に異変に気づいたらとても不安になりますよね。
でも気づいてあげることで早期治療につながるのです。
そのためには基本的な知識が必要です。
今回は、皮膚にできた「しこりや腫れ」、「赤み(発赤)」の症状やその原因について解説していきましょう。
皮膚に表れるしこりや腫れの原因は
愛猫とのスキンシップの時間はとても大切なもの。
その時に体の異変に気付くことも多いようです。
皮膚の表面にしこりや腫れを感じたら次のことをチェックしてみましょう。
- しこりや腫れの部分が熱をもっていないか?
- 傷になっていないか?
- 傷から血や膿(ウミ)が出ていないか?
もしどれかに当てはまったら、症状をよく観察し、原因を考えてみましょう。
- 肥満細胞腫
- 蜂窩織炎
- 寄生虫
- ワクチン接種部位肉腫
蜂窩織炎は皮膚の広い範囲にできる炎症
他の猫の爪や歯が刺さった後に細菌感染することで発症するケースが多いようです。
傷が小さくても歯や爪などが深く刺さったことが問題になります。
傷が小さいからといって安心はできません。
猫の皮下組織はとても弱いため、皮膚のすぐ下から皮下脂肪にかけて広く深い範囲に炎症が起こり腫れてきます。
ひどい場合は皮膚が壊死することもあります。
傷のまわりが広範囲に膨れている時は、切開手術(洗浄のため)が必要なことが多いようです。
同時に抗生物質の投与も必要になりますので、早めの受診が必要です。
外出猫の場合、縄張り争いや発情期のけんかがきっかけになることがあります。
オスの場合、特に注意が必要です。
肥満細胞腫は皮膚にできる腫瘍
肥満細胞とは、炎症や免疫機能に関係する細胞(肥満には関係ありません)のこと。
この肥満細胞が「がん化」したものなのです。
高齢の猫に多く見られますが、原因はよく分かっていません。
一方、シャムでは遺伝的な関連も指摘されています。
皮膚にできるもの(皮膚型)と内蔵にできるもの(内蔵型)があります。
皮膚型の場合、「丘疹(盛り上がった発疹)」がしこりのように感じられることが多いようです。
また自潰(自然につぶれる)して潰瘍のようになったり、二次感染して「腫れ」が見られる場合もあります。
頭部や首の周りをはじめ、体の様々なところにできる可能性があります。
この場合、手術による摘出が必要になります。
種類によっては命の危険につながるケースもありますので、早めの受診が必要です。
イボ状のしこりに見えているのは寄生虫
マダニが寄生して吸血した後、膨れたマダニが観察されることがあります。
これがイボ状のしこりに見えることがあります。
マダニに吸血されると炎症反応による腫れも見られます。
またマダニ自体が持っている病原体が二次感染を起こす可能性もあります。
一度食いつくときれいに取れない(口の部分が残る)ことが多く、つぶすとお腹の卵が出てくることもあります。
完全な駆除が必要になりますので早めの受診が必要です。
また人間にも寄生することがあるので要注意の寄生虫です。
ワクチン接種部位肉腫
頻度は少ないと言われますが、ワクチン接種後の皮膚の炎症が4ヵ月以上経っても引かない場合に考えられます。
しこりとして感じる場合には、ワクチンの接種部位が肉腫(筋肉中の腫瘍)になっている可能性があります。
この場合、熱はほとんど持たないことが特徴です。
応急処置の後は動物病院へ
- しこりや腫れの部分を湿らせたコットンできれいに拭く(観察しやすくなる)。
- 傷があれば、低刺激の消毒薬で拭いて清潔を保つ。
- 出血があれば、ガーゼで軽く圧迫して止血する(3~15分で止まらない場合は病院へ)。
- 止血直後に再度消毒すると、再出血することがあるので注意する。
- 痛みがあったり、触りすぎて悪化することもあるので、無駄に触らないこと。
猫の皮膚症状は病気発見の重要な手がかり
皮膚の赤み(発赤)は、皮膚に表れる一次的な変化で、様々な病気を発見する手がかりになります。
この発赤によって、部分的な炎症や出血が起きていることが分かります。
原因には、以下のようなことが考えられます。
- やけど
- 虫刺され
- 皮膚炎(多くの原因がある)
- 肥満細胞腫などの腫瘍
やけどや虫刺されの症状である場合、軽いものなら自然に良くなることも多いようです。
しかし皮膚炎や肥満細胞腫の場合、専門的な治療が必要になります。
皮膚炎の原因は数多く存在する
皮膚炎の原因になるものを以下にまとめてみましょう。
- 細菌感染
- 真菌(カビの一種)の感染
- 寄生虫(マダニなど)
- アレルギー性(寄生虫でも起こる)
これら様々な原因があり、特定が困難なことが多いため、自己判断は禁物です。
しかしいつまでも掻いたりなめたりしていないか注意することが必要です。
新たな感染や脱毛の原因になることがあるので観察しておきましょう。
肥満細胞腫の発赤と発疹には注意が必要
腫瘍の中では、肥満細胞腫(上述)が最も考えられる原因です。
皮膚型肥満細胞腫では皮膚表面の丘疹だけでなく「発赤」も見られます。
発赤を中心に少し膨らんだ「丘疹」が同時に見られたら肥満細胞腫を疑ってみる必要があります。
応急処置は患部を刺激しないようにすること
発赤は皮膚表面の炎症によるものです。
かゆみや違和感を感じるため、掻いたりなめたり、壁に擦ったりすることもあります。
猫自身があまり刺激しないようにすることが必要です。
- エリザベスカラーを付ける。
- 爪を短めに切る。
この状態で2~3日後に発赤が消失する場合なら経過を観察してみましょう。
しかし症状が長引いたり、丘疹(皮膚型肥満細胞腫の場合)など別の変化に気づいた場合は動物病院に連れて行きましょう。
いかがでしたか?
しこりや腫れ、発赤は病気を発見する手がかりになります。
病気である可能性を見逃すことで思わぬことになりかねません。
基本的な知識をもって観察してみましょう。