猫の病気で血尿症状が見られるとき。病院に必ず連れて行くべき尿石症とは?

猫のおしっこは健康のバロメーター。
おしっこの色が赤くなっている(血尿)のは異常のサインです。
猫の病気で血尿症状がある場合、主に尿石症などの泌尿器系の病気(猫下部尿路症候群)が考えられます。
かなり深刻なケースもありますので、すぐに病院に連れて行きましょう。
猫の病気で血尿症状が見られるときは
泌尿器系の異常が血尿の原因である場合、以下の病気が考えられます。
- 腎臓結石
- 尿管結石
- 膀胱結石(膀胱炎)
- 尿道結石(尿道閉塞)
- 腫瘍など
尿は腎臓で作られ、尿管、膀胱、そして尿道を通って排泄されます。
これら一連の器官を泌尿器系と言いますね。
この泌尿器系のどこかに尿石(結石)ができて、尿の排出を邪魔する病気をまとめて「尿石症」と呼んでいます。
今回は、血尿の原因で最も多くみられる尿石症(尿路結石症)を中心に解説していきましょう。
- 血尿が出る
- 排尿回数の増加(5~6回以上)
- トイレには行くが尿が出ない(少ない)
- トイレに長い時間座っている
- 排尿時の痛みで鳴く
- 尿が濁っている(正常は透明な黄色)
- 尿がいつもより臭い(マーキング時は正常でも臭いことがある)
- トイレ以外のところで排尿する
- 尿に砂状の結晶が混ざり光っている:結晶尿(尿道閉塞の原因)
血尿が出る場合はかなり深刻なケースも考えられます。
放置すると尿路が完全に詰まって尿が出なくなります。
まる1日以上出ないと尿毒症を起こして死にいたるケースもあります。
またオス猫の尿道は1~2mmと細いため、閉塞するとペニスを切除しなければならないこともあるので大変です。
自己判断せず、すぐに病院に連れて行きましょう。
尿石症の応急処置と予防法は同じ?
休日や深夜など、どうしても病院に行けない場合もあります。
あくまでも一時的な処置として、以下のことを試すこともできます。
またいずれも尿石症の予防法としても当てはまるものばかりです。
尿石症の症状が出ていないうちから実践するのがベターです。
トイレをきれいにしておく
排尿ができないと症状はさらに悪化してしまいます。
猫はきれい好きなので、不潔なトイレだと我慢してしまうこともありますよ。
トイレは常にきれいにしてあげましょう。
トイレを複数用意するのも一つの方法です。
いつでもおしっこができる環境を整えることが重要ですね。
水分をできるだけ摂らせる
水分の不足が症状を悪化させてしまいます。
1日に必要な「水分量」の目安は、体重1kgあたり30~40ml程度。
1日の「尿量」の目安は、体重1kgあたり20~35ml程度とされています。
これ下回るようなら水分を積極的に摂らせるようにしましょう。
水飲みの容器を増やすのも有効な方法です。
また35℃程度の体温に近い温度の水を試してみてもよいでしょう。
飲水しやすい環境を整えておくことが重要です。
フードを変更する
飲水を促してもうまくいかないようならフードを変更してみましょう。
ウェットフードで水分を確保することもできます。
缶詰やスープタイプ(パウチ)のものを試してみてもよいでしょう。
猫はそもそも尿石症になりやすい動物?
猫はもともと水分をあまり摂らない動物。
砂漠の乾燥地帯が発祥である猫種が多いことが理由です。
少ない水分を有効に活用するようにできているため、一日のおしっこの回数も2~3回程度で濃いめです。
長い時間、膀胱に尿をためる性質もあるため、尿石ができやすいと言われます。
犬よりもおしっこが臭いのはこれが理由なんです。
一方、普段食べているフードや水の種類が関係することも少なくありません。
フードや水の種類が関係する
マグネシウム、カルシウムを多く含んだ「フード」や硬水の「ミネラルウォーター」の与えすぎで起きることもあります。
これらは、尿のpH(ペーハー)のバランスとも関係してきますよ。
pHは、酸性とアルカリ性のバランスを表す単位ですね。
尿がアルカリ性に傾くと「ストルバイト」、酸性に傾くと「シュウ酸カルシウム」という尿石ができやすくなるとされています。
いくつかのポイントをまとめてみましょう。
- アルカリ性に傾く(ストルバイト):マグネシウムが多い。尿量が少ない。細菌性膀胱炎を起こしているとき。
- 酸性に傾く(シュウ酸カルシウム):カルシウムが多い。
マグネシウムが未調整のフード、ミネラルウォーターのほか、カルシウムの多い煮干しやかつおぶしが原因になることも多いので気を付けましょう。
ストルバイト尿石は、1~6歳ほどの成猫期、シュウ酸カルシウム尿石は7歳以降のシニア期に多いとされているので、年代ごとの配慮も必要ですね。
冬は飲水量が減るので特に注意が必要
猫は暑いと体温を下げようとします。
体を舐めて濡らしたり、呼気で水分を蒸発させて体温を調節しているのです。
そのため夏は水分を多く摂ります。
しかし冬は体温を下げる必要がないため、飲水量も減り、尿石症になりやすい傾向があります。
特に冬は適切な水分量が摂取できていないことが多いようです。
特に、尿石症にかかったことのある猫の場合、コントロールが必要です。
獣医さんに相談の上、泌尿器疾患のケア用フードも検討してみましょう。
血尿症状がみられる他の原因は
尿石症以外にも血尿が見られることがあります。
- 尿路感染1:炎症後にできる物質が尿石化する
- 尿路感染2:細菌自体がつくる物質が尿石をつくりやすくする
- 溶血:ネギ類を食べた時などに赤血球が破壊される
他の要因から血尿が生じることがあります。
特に溶血の場合、重度の貧血を起こし、命に関わることもありますので注意が必要です。
いかがでしたか?
猫は尿石症の場合に限らず、痛みに強いと言われています。
そのため症状が分かりにくく発見が遅れるケースも考えられます。
愛猫のいつもと違う様子に気づいてあげることが何より大切です。
本稿が、愛猫の健康管理のお役に立てれば幸いです。