【犬の食欲がすごい】のは病気かも?その原因と対策について知っておこう。

最近、愛犬の「食欲がすごい」と感じる。
成長期、また妊娠中や授乳中であれば食事の量は多くなります。
でもその時期が過ぎれば、あきらかな食欲の亢進は何らかの異常が考えられます。
今回は、犬の食欲が急激に変化するときの原因や対策についてお話しましょう。
犬の食欲がすごいのは病気かも
育ち盛りの犬や妊娠中・授乳中の犬は栄養を多く摂取するものですね。
また活動的な犬種や使役犬もカロリーの消費は多めです。
しかし成犬となって以降、急に食べる量が増えたときは注意が必要です。
年の割には食欲旺盛で元気と考えると危険です。
また食べる割には痩せてきたと感じた場合も同様です。
ではこのようなときに考えられる病気をまとめてみましょう。
- 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群):副腎の肥大や腫瘍化によってホルモンが過剰に分泌される。
- 糖尿病:膵臓から分泌されるインスリン(ホルモン)の不足や感受性低下によって糖の代謝が障害される。
- 膵外分泌不全(膵炎など):膵臓から分泌される消化酵素(外分泌)が少ないため栄養の吸収が障害される。
- 吸収不良症候群:小腸粘膜の何らかの異常によって消化・吸収が障害される。3つの原因がある。
- 認知症(認知機能障害):脳の萎縮などによって機能低下を起こし、記憶力や判断力・理解力の低下する。
食欲が旺盛になったということ以外にも何らかの変化が起こっているはずです。
それぞれの病気の理解し、その原因や症状、対策法について知っておきましょう。
原因と対策について知っておこう
それではこれら5つの病気についてみていきましょう。
名前を一度は聞いたことがあるかもしれませんね。
しかしこれらの病気は、かならずしも急性の発症ではないため、なかなか気付かないこともあるんです。
副腎皮質機能亢進症
「副腎皮質機能亢進症」は、副腎皮質から分泌される糖質コルチコイド(代表はコルチゾール)が過剰に分泌される(どんどん作られる)ことで起こる病気です。
クッシング症候群ともよばれますね。
一方、脳にある下垂体から分泌されるACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の過剰分泌(どんどん作れ)から起こることもあります。
この場合、別にクッシング病と呼ばれることもありますよ。
「糖質コルチコイド」というと聞き慣れないかもしれません。
しかし人間でもアレルギー性疾患に使われる「ステロイド剤」といえばご存知の方がほとんどでしょう。
糖質コルチコイドが配合された薬がステロイド剤というわけなんです。
だからステロイド剤の過剰な投与によっても引き起こされる(医原性)こともあるんですね。
- 血糖値の上昇
- 筋肉や皮膚のたんぱく質の分解
- 脂肪の分解
- 水分排出の促進
- 胃酸分泌の促進
- 免疫抑制
- 炎症反応の抑制など
これらの作用が過剰になることで体に変化があらわれることになります。
「症状」は、多食(食欲亢進)と多飲、腹部の下垂(腹筋の萎縮)、脱力(足腰の筋肉の萎縮)、脱毛(毛づやが悪い)などが代表的なものです。
「治療(対策)」は、ステロイド剤が原因であれば、医師と相談の上、減薬していくことになります。
また副腎に原因があれば、機能を抑える薬が投与されたり、副腎腫瘍が原因であれば摘出手術が行われることもあります。
さらに荒れた皮膚のケアなどが必要になります。
糖尿病
- 原因:膵臓の「内分泌(インスリン)」の不足や感受性の低下のため血糖値が上昇する。
- 症状:他飲多尿。食欲旺盛。体重減少。
- 治療(対策):インスリンの投与(主にⅠ型)。食事療法・運動療法(主にⅡ型)。
膵外分泌不全
- 原因:膵臓の「外分泌(消化酵素の産生)」が不足するため、消化不良を起こす。自己免疫疾患とも。
- 症状:食欲旺盛。下痢(脂肪便)。体重減少。
- 治療(対策):消化酵素やビタミン剤の投与。食事療法(低脂肪・消化しやすいもの)。
吸収不良症候群
「吸収不良症候群」は、小腸の粘膜の異常によって、食物の消化・吸収のプロセスにトラブルが発生する病気です。
3つの原因に分けて考えられています。
- 原発性(原因不明)吸収不良:小腸の絨毛の欠損などによって吸収が障害される。
- 続発性吸収不良:腸炎、アレルギー性胃腸炎、腫瘍、寄生虫などの影響で起こる。腸リンパ管拡張症(脂質吸収不良)など。
- 消化障害性吸収不良:膵液や胆汁の分泌障害により、脂質を消化できなくなる。
「症状」としては、足りない栄養素を補うために食欲が亢進します。
また栄養素(脂質など)の多くが吸収されずに排泄されるため、下痢(脂肪便など)が続くようになります。
「治療(対策)」は、食事療法やビタミン、消化酵素の投与などが行われます。
続発性の場合は、原因になっている病気の治療が施されます。
認知症(認知機能障害)
犬は、高齢になるとさまざまな原因から食べなくなることが多いようです。
でも「認知症」を発症した場合、食事をした記憶が薄れたり、満腹中枢が鈍くなったりすることがあります。
そして何度もごはんを催促する行動がみられ、むしろ食欲旺盛になったように感じるんです。
どのような違いがあるのか、もう少し説明しましょう。
いかがでしたか?
愛犬がごはんを食べなくなっても、逆に急にたくさん食べるようになっても心配なものです。
食欲は健康のバロメーター。
愛犬の変化に早めに気付いてあげることが大切です。