犬の便秘が3日以上続くと重病?高齢犬の前立腺肥大とヘルニアには要注意!

愛犬の便秘に気づいたら。
お腹にガスがたまるとひどい痛みを伴うことがあります。
ぐったりして元気がなかったり、お腹が張っていたり、便秘症状が3日以上続くときは重大な病気が隠れているかもしれません。
特にオスの高齢犬では、前立腺肥大や会陰ヘルニアが多く、注意が必要です。
それでは詳しく解説していきましょう。
犬の便秘が3日以上続くときに考えられることは?
便の回数は1日2~3回程度が通常です。
また人間ほど量は多くありません。
3日以上の便秘が続いたら要注意です。
まずは便秘の原因を簡単にまとめてみましょう。
- ストレス
- 薬やサプリメントの影響
- 水分不足
- 運動不足
元気も食欲もあるなら、観察してみてもよいかもしれません。
問題となる点が思い当ったら改善してみましょう。
- 前立腺肥大
- 前立腺炎(前立腺膿瘍)
- 前立腺嚢胞
- 会陰ヘルニア
- 肛門周囲炎(肛門周囲瘻)
- 椎間板ヘルニア
- 股関節脱臼
- 骨盤骨折
ぐったりしている、食欲がない、便が固い、お腹が膨れる、嘔吐がみられるなどの症状があったら、要注意です。
意外な病気と関連しているかもしれません。
高齢のオスにみられる前立腺肥大と会陰ヘルニア
前立腺肥大と会陰ヘルニアは高齢のオスにみられやすい病気です。
両者は関係し合っていることが多いと言われます。
便秘以外の症状もよく観察しましょう。
オスの老犬の半数にみられる前立腺肥大
前立腺はオスだけにある器官で、精巣ホルモン(アンドロジェン)のバランスの崩れが原因と言われます。
特にテストステロンというホルモンが過剰に分泌され、前立腺の細胞が増殖して大きくなってしまいます。
去勢していないオスの老犬に特に多い病気です。
前立腺肥大そのものの症状よりも、近くにある直腸や膀胱、尿道に影響を与えることが多いようです。
- 便秘、便が出にくい(細い、短い):直腸の圧迫
- 尿が出にくい:膀胱、尿道の圧迫
- 排便・排尿時の痛み
- 血尿
【治療法】
- 薬物療法(前立腺を小さくする薬)
- 薬物療法(便秘の緩和)
- ホルモン治療(老犬の場合)
- 去勢手術(予防にも)
- 繊維質の多い食事(家庭で)
- 浣腸(家庭で)
会陰ヘルニアは直腸が飛び出す病気
ヘルニアとは、臓器が元の位置を逸脱することを言います。
会陰ヘルニアは、肛門まわりの筋肉の隙間から直腸などが出てくる状態です。
加齢によって筋肉が弱くなることや、前立腺肥大による便秘も関係しているようです。
- 便秘:直腸が曲がるため
- 尿が出にくい:膀胱の圧迫
- 肛門周囲が膨れる
【治療法】
- 手術療法(直腸を戻し、ゆるんだ筋肉を縫合する)
- 薬物療法(便秘の緩和)
- 繊維質の多い食事(家庭で)
- 去勢手術(前立腺肥大が原因となる場合)
排尿障害がある場合は、膀胱炎や腎不全になる可能性もあるので、注意しなければなりません。
排便障害を引き起こす病気は他にもあった!
主に尿路を伝わって細菌感染することで前立腺が炎症を起こすことがあります。
これが「前立腺炎」です。
そして炎症部分が化膿すると「前立腺膿瘍」と呼ばれる状態となります。
ホルモンとは関係せず、若い犬にも起こる病気です。
前立腺炎(前立腺膿瘍)、前立腺肥大によって前立腺液を尿道に排出する管がつぶれてしまいます。
前立腺液が排出できなくなると、前立腺の組織のすき間にたまるようになります。
これを「前立腺嚢胞」と呼びます。
これも前立腺が大きくなる病気で、排便や排尿の障害を引き起こす可能性があります。
症状と治療法をまとめてみましょう。
- 便秘、便が出にくい(細い、短い):直腸の圧迫
- 尿が出にくい:膀胱、尿道の圧迫
- 排便時の痛み
- 排尿時の痛み
- 血尿(膿尿)
- 発熱(意識もうろう)
【治療法】
- 抗生剤の投与(前立腺炎の場合)
- 手術療法(前立腺の摘出:前立腺嚢胞)
- 貯留物の除去(挿管による)
- 去勢手術(予防にも)
肛門周囲の病気でも便秘になる?
肛門周囲の病気でも、便が出にくくなる可能性があります。
排便時の痛みが主な原因になります。
症状と原因をまとめてみましょう。
肛門嚢はマーキングの器官
肛門嚢(こうもんのう)は肛門の両側にある便に匂いをつける袋状の器官です。
マーキングやコミュニケーションにも役立っていると言われます。
「肛門嚢炎」は、肛門嚢が感染し分泌液が排出できなくなることで化膿してしまう病気です。
- 便が出にくくなる
- 排便時に痛みで鳴く
- 肛門部を床にこすりつける
【治療法】
- たまっている分泌物の排出
- 抗生物質の投与(化膿している場合)
- 肛門嚢の切除(ひどい場合)
肛門周囲炎(肛門周囲瘻)とは
「肛門周囲炎」は、肛門周囲に炎症を起こす病気です。
肛門腺の炎症などが原因でかゆみや痛みがあり、それを舐め続けることなどで起こります。
これが悪化して肛門腺が感染して化膿し、潰瘍になって瘻管ができた状態を「肛門周囲瘻(こうもんしゅういろう)」と呼びます。
- 便が出にくくなる
- 排便時に痛みで鳴く
- 排便時の出血や膿状の分泌物がみられる
【治療法】
- 投薬(外用薬と内服薬)
- 瘻管の切除
いかがでしたか?
高齢犬の場合、便秘がサインとなって前立腺肥大や会陰ヘルニアが見つかることがあります。
また若い犬でも便が出にくい、排便時に痛みがあるなどの症状から思わぬ病気が発見できます。
本稿が愛犬の健康管理の参考になりましたら幸いです。