犬の咳を徹底分析!夜中まで止まらない場合の原因と治療法は。

愛犬の咳の症状は見ていてつらいものですよね。
犬の咳には「カッホ、カッホ」という乾いたものと「ゼィゼィ」という呼吸音を伴った湿ったものがあります。
乾いた咳から始まり、炎症がひどくなるにつれて変化していきます。
症状が進行すると夜中まで止まらないこともあります。
今回は、咳を主症状とする犬の病気を分析していきましょう。
犬の咳のタイプで病気の進行具合が分かる?
のどから気管、気管支、肺へと続く空気の通り道(気道)に刺激があると咳が出ます。
一時的なものなら心配ありません。
しかしなかなか止まらなかったり、夜中まで続いたりする場合は早めに診察を受けることが必要です。
放置するとどんどん気道の炎症が進行してしまいます。
咳のタイプと病気の進行の関係を詳しく見ていきましょう。
乾いた咳の原因は気管支の炎症
「気管支炎」は鼻やのどの炎症が気管支の粘膜まで広がった状態です。
比較的ありふれた病原体やアレルギーでも起こる可能性があります。
時には「肺炎」を引き起こすこともあるので注意が必要です。
- 「カッホ、カッホ」という乾いた咳が特徴
- 鼻水や発熱
- 食欲の低下
- 咳に誘発された嘔吐
【原因】
- ウィルスや細菌、真菌、寄生虫などの感染
- アレルギー性
- 刺激性のガスや化学薬品の吸引など
【家庭でできる対処法】
- 安静にさせる。
- 部屋の温度を保つ(18~24℃:鼻やのどの粘膜を刺激しないため)
- 部屋の湿度を保つ(50~60%:病原体を舞い上がらせないため)
【病院での治療法】
- 抗生剤、抗炎症剤の投与
- 鎮咳剤、去痰剤の投与
- 吸入療法(痰を排出するため)
最も多いのは気管支炎から肺炎に進行するケース
「肺炎」は気管支の炎症が肺の組織まで広がった状態です。
時には肺水腫を引き起こすこともあり、とても危険です。
- 「ゼィゼィ」という呼吸音を伴う湿った咳が特徴。
- 口呼吸をする(普段は鼻呼吸)。
- 胸からヒューヒューという音がする。
- 高熱が出る
- 浅く早い呼吸になる。
【原因】
- ウィルスや細菌、真菌、寄生虫などの感染。
- 気管支炎の進行。
- アレルギー性のもの。
【家庭でできる対処法】
- 部屋の温度と湿度を保つ。
- 安静にさせる。
【病院での治療法】
- 抗生剤、抗炎症剤の投与
- 鎮咳剤、去痰剤の投与
- 酸素吸入
夜中まで止まらない咳は肺水腫が原因?
「肺水腫」は肺に水が溜まることで酸素の交換ができない状態です。
肺炎の進行によるものや心臓の疾患が関係していることもあります。
放置すると呼吸困難になって命に関わることがある最も危険な状態です。
- 咳が夜中まで止まらない。
- 鼻水に血が混じることもある。
- 呼吸困難になると舌や歯茎が青くなる(チアノーゼ)。
- 首の静脈が浮き出て見える(怒張)。
- 横に伏せられなくなる(呼吸が苦しいため)。
【原因】
- 肺炎の進行
- 心臓疾患(僧房弁閉鎖不全、心筋症)
【家庭でできる対処法】
- 食事は塩分を控える(水が溜まるのを防ぐため)
【病院での治療法】
- 酸素吸入
- 利尿剤(水分を排出するため)
- 抗炎症剤の投与
伝染性のウィルスが原因の場合とは
最近は、ワクチン接種によってほとんど感染しなくなった伝染病もあります。
しかし感染すると致死率が高く、まだまだ怖い病気も存在します。
子犬だけでなく、免疫のない成犬や老犬もかかることが多いので注意が必要です。
またインフルエンザなど季節によって流行するものもあります。
気になる2種類の伝染病についてお話ししましょう。
ジステンバーは脳にも影響する怖い伝染病
- 感染後、1週間程度で食欲不振がみられる。
- 発熱がみられ、いったんは自然に解熱する(初期症状)。
- 再度発熱し、咳や濃い目ヤニ、鼻水、嘔吐、下痢がみられる。
- ウィルスが脳に達すると、「けいれん」を起こす。
- 肉球の角質化(ハードパッド)がみられる。
【原因】
- 犬ジステンバーウィルスの感染による。
- 接触感染、飛沫感染(くしゃみなど)による。
- 食べ物や糞尿からの感染も。
【家庭でできる対処法】
- 伝染性であるため隔離する。
- 体力の消耗を抑える。
- 消化のよい食べ物を与える。
- 栄養価の高い食べ物(特にたんぱく質)を与える。
- 部屋の温度と湿度を保つ
【病院での治療法】
- ジステンバーに対する特効薬はない。
- 対症療法の薬の投与。
- 予防注射。
ケンネルコーフは通称「犬風邪」と呼ばれる
- 伝染性の気管支炎を発症する。
- 乾いた強い咳がみられる。
- 食欲低下が起こらないこともある。
- 進行すると鼻水、痰、嘔吐、微熱が続く。
- 子犬や老犬では重症化することも。
- 食欲低下や肺炎への進行で衰弱することも。
- パラインフルエンザウィルスの感染。
- アデノウィルス2型の感染
- 接触感染、飛沫感染(くしゃみなど)による。
【家庭でできる対処法】
- 病犬と接触させない。
- 体力の消耗を抑える。
- 消化のよい食べ物を与える。
- 栄養価の高い食べ物(特にたんぱく質)を与える。
- 部屋の温度と湿度を保つ。
【病院での治療法】
- ケンネルコーフに対する特効薬はない。
- 対症療法。
気管虚脱は先天性の病気
「気管虚脱」は肺に空気を送る気管が扁平化する(つぶれる)病気です。
先天的に鼻の短い犬種や小型犬がかかりやすいと言われています。
- パグ
- フレンチ・ブルドッグ
- マルチーズ
- シー・ズー
- トイ・プードル
- チワワ
- ポメラニアン
【症状】
- 「ガーガー」というガチョウの声のような乾いた咳が特徴。
- 進行すると「ゼィゼィ」という呼吸音を伴う湿った咳に変わる。
- 梅雨から夏季の高温多湿の時期に起こりやすい。
- 呼吸困難になると舌や歯茎が青くなる(チアノーゼ)。
【原因】
- 先天的に鼻の短い犬種や小型犬に多い。
- 気管が弾力を失ってつぶれることが原因。
- 高齢犬に症状が出やすい。
- 肥満で起こりやすくなる。
【家庭でできる対処法】
- 暑い時期には温度や湿度の管理を心がける。
【病院での治療法】
- 咳の症状に対する薬の投与。
- 鎮咳剤、去痰剤の投与
- 気管を広げる手術も。
いかがでしたか?
咳の症状を甘く見るのは禁物です。
放置することでどんどん炎症が進行し、重篤な事態を招きます。
早期発見・早期治療が何よりも大切です!
愛犬の健康がいつまでも保たれるよう願っています。