犬の下痢でゼリー状の血便が続く原因!嘔吐もみられたら感染症?

愛犬の異変に気付いたら、飼い主なら心配になるのが当然です。
下痢は犬によくみられる症状ですが、血便が何日も続いたり、嘔吐などの症状と重なったら大変です。
血便にもタール便や鮮血便、ゼリー状の便といった違いがあります。
原因も感染症や胃腸の障害、寄生虫など様々です。
今回は下痢症状の中でも特に気になる血便に注目してみましょう。
犬の下痢でゼリー状の血便が続くとき
血便は激しい下痢をしたことで腸の粘膜が傷ついて出血している場合が多いようです。
それが便と一緒に排泄されているものと考えられます。
しかし出血の場所や犬の排便の回数、便の性質からもう少し詳しいことが分かります。
簡単に整理してみましょう。
- 便の回は普段と同じであるが、便がゆるい
- 血便(タール便)は(胃か)小腸性
- 少量の便を何回もする場合
- 血便(鮮血便)は大腸性
- 下痢が続くことで大腸の粘膜が傷つき「血便(ゼリー状、粘液便)」となる
血便を繰り返すようなら腸が大きなダメージを受けている可能性があります。
また下痢(血便)以外の「嘔吐」などの症状があったら特に注意が必要です。
すぐに病院に連れて行きましょう。
- 嘔吐する
- 元気がない
- 食欲が低下している
- 咳をしている
- 震えている(発熱や吐き気など)
血便と嘔吐がいっしょに見られるときの原因は
血便の原因をまとめてみましょう。
- 感染症:パルボウィルス、コロナウィルス、ジステンバー、伝染性肝炎など
- 出血性胃腸炎
- 急性(慢性)大腸炎
- 膵炎
- 寄生虫:鉤虫、鞭虫、コクシジウムなど
- 有害物質の中毒症
最も多いのは感染症によるもの
感染症の特徴をまとめてみましょう。
以下の4つの感染症は、重大な感染症で8種混合ワクチンに含まれています。
そのため蔓延することは少なくなりましたが、かかると死に至ることもある怖い病気です。
- アデノウィルス1型の感染
- 子犬では重篤になりやすい
- 下痢と嘔吐を引き起こす
- 急性肝炎を引き起こす
- ブルーアイ(角膜の白濁)がみられることがある
- 伝染性の強いウィルス
- 消化器症状を起こす
- 血便や激しい嘔吐がみられる
- 子犬がかかると心筋炎(急性心不全)を起こすことがある
- 人にはうつらないが媒介することはある
- 成犬では無症状のこともある
- 子犬では激しい下痢と嘔吐がみられる
- 子犬が発症しやすい
- はげしい下痢や嘔吐を繰り返す
- 咳や発熱、粘っこい目ヤニ、鼻水がみられる
- 神経症状(けいれん、昏睡)を起こすこともある
- ハードパット(肉球の角質化)
- 後遺症が残りやすい
これらのウィルスに対する有効な治療法はありません。
伝染性であるため隔離したり、脱水などに対する対症療法を行ってながら回復を待ちます。
消化器の病気が原因で起こるもの
- パルボウィルス感染症が原因であることも
- 原因不明で突然発症する場合も
- ひどい血便(悪臭も)がみられる
- 嘔吐がみられる
- 小型犬に多く発症する
- 大腸(水分を吸収して便を作る)の粘膜の炎症
- 水分が多くなり鮮血や粘液が混じる
- 脱水を起こしやすい
- 嘔吐がみられる
- ストレスが原因であることが多い
- ウィルスや細菌、寄生虫の感染でも起きる
- 激しい嘔吐や下痢が原因
- 腸の一部が反転して重なること
- 開腹手術が必要になる
- 膵臓(消化酵素を作る)の炎症
- 消化酵素が不足するために下痢(血便)を起こす
- 嘔吐がみられる
- 腹痛が起きる
- 食欲不振、うつ状態、脱水、黄疸が見られることもある
- 慢性では脂肪便(白い粒と酸っぱい臭い)が特徴
下痢と嘔吐がいっしょにみられる場合、重い症状であることが考えられます。
また様々な病気との判別が必要になります。
寄生虫が原因である場合
- 主に小腸に寄生して吸血するため、腹痛を起こす
- タール状の血便が見られる
- 慢性貧血などの重い症状も見られる
- 子犬では死に至ることもある
- 成犬が感染しやすい
- 主に盲腸に寄生する
- 虫の卵を含む粘血便や激しい下痢を起こす
- 重症では鮮血便となる
- 人にも感染する
- 主に小腸に寄生する
- 子犬(幼犬)では下痢がみられる
- 血便を起こす
- 貧血を起こすこともある
中毒が原因である場合
人間にとって無害でも犬にとっては有害なものもあります。
身の回りのものには注意しておきましょう。
また口の匂いで分かることもあるので、異変に気付いた時点で病院に連絡しましょう。
- 殺虫剤:ナフタリン、ホウ酸、ワルファリン、有機フッ素など
- ヒ素:農薬や木材の防腐剤に使われている
- 水銀:水銀電池や体温計など
- 鉛:絵具や一部のペンキに含まれる
- 植物:朝顔の種、アイビー、トマトの葉など
下痢が2~3日続くときは元気でも病院に連れて行くべき
下痢の原因がどんなものであっても、急性の下痢を放置すると慢性化することがあるようです。
一度慢性化すると治りにくくなってすぐに下痢をする体質になってなしまうことがあります。
また小腸での栄養素の吸収がうまくいかなくなる原因不明の吸収不良症候群といった他の病気になることもあります。
病院に行くときには、便や便の写真を持って行ったり、下痢の状況や他の症状も説明すると診断の助けになります。
基本的な便の種類を理解しておきましょう。
病気の場合に限らず、食事内容でも便の性質・色が変わってくることがあります。
今までと違ったフードやおやつを食べたり、冷たい水を大量に飲んだり、体が冷えたりといったことも変化の原因です。
状況の変化を観察したり、普段の便の様子と比べてみることが大切です。
- 正常なもの:茶色で形がしっかりして取った後に残らない
- 正常なもの:赤っぽい便(ジャーキーなど)、黒っぽい便(色の濃いフード)
- 正常なもの(やや消化不良):白っぽい便(脂肪分が多かったり消化に悪いものを食べた場合)
- 軟便:取る時に形が崩れて、地面に残る
- 下痢便:形がなく、液状のもの
- 脂肪便(白い粒と酸っぱい臭い)
- 血便(タール便)
- 血便(鮮血便)
- 血便(ゼリー状、粘液便)
いかがでしたか?
愛犬の健康管理の参考になりましたら幸いです。