犬の暑さ対策の方法は?屋内外で行う熱中症予防のコツを伝授。

暑い夏。
犬にも大きな影響を与えます。
夏バテや熱中症、皮膚病などさまざまなトラブルが起こる季節。
犬の暑さ対策の方法は?
気を付けるべき病気は?
屋内外で行う熱中症予防のコツは?
トラブルの種類とそれぞれの対処法について、詳しくお話していきましょう。
夏に起こりやすいさまざまなトラブルとは
日本の夏は高温多湿。
温暖化やヒートアイランド現象などで夏はますます過ごしにくくなりましたね。
それは愛犬も同じ。
むしろもっと大きな影響を受けているかもしれませんよ。
特に以下のトラブルには注意してあげたいものですね。
- 熱中症:汗腺が少なく体温調節が苦手なため急激な体温上昇が起きる。
- 夏バテ:原因不明の下痢や食欲不振、免疫力の低下が起きる。
- 皮膚病:ノミ刺咬性皮膚炎、ホットスポット、マラセチア性皮膚炎などが起きやすい。
- 食中毒:細菌やカビの繁殖が早く食べ物や飲み物の管理が行き届かなくなる。
- 虫刺され:蚊やノミなどに刺される機会が増える(※フィラリアには要注意)。
- やけど:散歩中の肉球のやけどに注意。
- その他:レジャー先でのトラブル(森林のハチやヘビ、ヒキガエルとの接触など)
虫刺されも意外と怖いトラブルです。
特に「フィラリア」は蚊が媒介するおそろしい病気。
急性のフィラリア症では、激しい呼吸困難やコーヒー色のおしっこがみられます。
そのほか胃腸病や皮膚病など、もともと持っている病気が免疫力の低下によって悪化することも考えられます。
では、詳しくみていきましょう。
屋内外で行う熱中症予防のコツ
もっとも怖いのは「熱中症」です。
犬には汗腺がほとんどなく、人間のように汗をかいて体温調節することができません。
だから短時間でも急激な体温上昇をきたしてしまいます。
屋内でも湿度が高かったり、水辺でも風通しが悪い場所では熱中症の危険があります。
また車の中に置き去りにするのはもってのほか。
もっともなりやすい環境と考えてよいでしょう。
- 原因:体温調節が難しく、短時間で急激な体温上昇(40℃以上)をきたす。
- 症状:息が荒い。大量のよだれ。ふらつき。目がトロンとしている。歯ぐきの赤みが強い。心拍数の上昇。
- 症状(重症):体が熱い。嘔吐やけいれん(意識消失)。歯ぐきが白くなる。肛門や耳から出血する。
- 対処法:風呂場(屋内)や日陰(屋外)に移動し、首筋、後頭部、体の順で水をかける。少量の塩を入れた水を飲ませる。氷枕で冷やす。
- 予防法:温度・湿度の高い時間帯は外出を避ける。小まめな休憩と水分補給。暑さ対策グッズを併用する。
意識が戻り、普段通りの様子に回復したように見えても必ず医師の診察を受けましょう。
症状が翌日にぶり返すこともあります。
特に肥満犬やシニア犬、大型犬(寒冷地原産)、長毛種や短頭種の犬がなりやすいと言われています。
長毛種では特に熱がこもりやすいため、濡れたら十分に乾かす必要があります。
また散歩の休憩時などに被毛を逆なでして空気を通りやすくするのも効果的です。
熱中症では、脳に影響が出たり、死んでしまうこともまれではありません。
悪い条件がそろうと短時間で進行してしまいますので、くれぐれも注意しましょう。
- クールジェルベルト(クールネックバンド):保冷剤が首に装着できる
- クールタオル(スカーフ):水にぬらすことで気化熱が期待できる
- クールジェルマット:ジェルが熱を吸収する
- クールアルミプレート:熱伝導率が高く体温を逃がす
- クールダウンスプレー:直接吹きかけて気化熱で冷やす
これらのグッズを適時用いるのがよいでしょう。
屋外では首の周りやお腹周りなど局所的に冷やすと効果的です。
屋内ではクーラーと併用すると温度の下げ過ぎを防ぐことができます。
犬の暑さ対策の方法とは?
そのほかにも気を付けなければならない体調の変化はたくさんあります。
それぞれの病気についてお話ししましょう。
人間にも起こり得るものは犬にも起こると考えてよいでしょう。
特に夏バテは、消化不良や下痢(胃腸障害)、食欲不振を起こし、免疫力の低下を招きます。
そのため病気にかかりやすくなったり、持病が悪化したりするなど悪循環に陥ることもあるので注意が必要です。
原因のはっきりしない症状が続く場合、夏バテを疑ってみましょう。
- クーラーで体を冷やし過ぎない(内臓の機能低下を招く)。
- 暑さ対策グッズを併用する。
- 涼しいところから急に暑い屋外に出すような急激な温度変化を避ける。
- 散歩は早朝か日没後の時間帯に(※雨上がりや熱帯夜は避ける)。アスファルトは避ける。
- キュウリなど水分の多い野菜をおやつに与える。
下痢が続くと脱水に陥ることがあります。
また免疫力の低下や細菌の繁殖から食あたり(食中毒)も起こしやすいため、変化がみられたら早めに診察を受けましょう。
皮膚トラブルのサインを見逃さないこと
夏は皮膚病やもともとあった皮膚の持病が悪化しやすい時期です。
悪化させたり、二次的な感染の元にならないよう早期発見に努めましょう。
- 原因:ノミが体に寄生し皮膚を刺激することで起こる
- 症状:耳の後ろや背中、陰部周囲に赤い発疹が出てかゆがる。掻きむしることで脱毛や傷になることも。
- 対処法:ノミ駆除剤。ハウスを清潔にする。多頭飼いでは蔓延するので要注意。
- 原因:被毛と皮膚の間の温度が上がって蒸れることによる。濡れた被毛が原因のことが多い。
- 症状:かゆがり、かきむしったりしつこくなめたりする。刺激した部分が赤く腫れる。
- 対処法:被毛が濡れたらすぐに乾かす。ドライヤーの冷風を用いると効果的。
- 原因:マラセチアの繁殖による。免疫力の低下で繁殖しやすい。
- 症状:かゆみがあり脱毛も起きやすい。被毛に脂分の多いシー・ズーやバグや脂漏性皮膚炎のある犬に多い。
- 対処法:薬用シャンプーをして、きちんと乾かす(1~2回/週)。
- 原因:高温多湿によって耳の中にマラセチアや細菌が繁殖しやすくなる
- 症状:ひどいかゆみによって掻きむしったり頭を振ったりする。黒い耳垢が大量にたまる。
- 対処法:専用のイヤークリーナーでケアする(獣医師の指導が必要)。綿棒は使わないこと。
そのほか「アトピー性皮膚炎」や「脂漏性皮膚炎」を持っている場合、悪化することがしばしばです。
シャンプーなどのケア方法もあらかじめ見直しておく方がよいかもしれません。
夏は細菌やカビが繁殖しやすい
夏は、細菌やカビの繁殖がさかんになります。
普段はクーラーの中にいることが多いため、つい忘れがちなのが食べ物や飲み物の管理ですね。
またゴミ箱にあるものや拾い食いなども要注意。
涼しい季節よりもずっとリスクは高くなります。
嘔吐や下痢、発熱、食欲低下が主な症状。
夏バテと思い込まずに、すぐに病院に連れて行きましょう。
- 飲み水は朝昼夕に取り換える。
- 食器は毎食後洗剤で洗う。
- フードは清潔な手で触る(※濡れた手は禁物)。
- 食事の残り物は冷蔵庫で管理するか再度与えないようにする。
- ゴミ箱の中に食品を捨てない。
- 拾い食いに注意(虫なども)。
いかがでしたか?
さまざまな危険性とその対処法を知っておくことで防げるものばかりですね。
暑い夏を工夫次第で乗り切りましょう。