犬の腫瘍の種類と症状を詳しく解説。良性と悪性でどう違う?

犬の腫瘍の種類と症状を詳しく解説。良性と悪性でどう違う?

犬の平均寿命もずいぶん延びてきました。

加齢に伴って特に気を付けたいのが腫瘍ですね。

人間にできるものはすべて犬にも可能性があると言われます。

良性と悪性ではどう違うのでしょうか?

また治療法はあるのでしょうか?

今回は、犬の腫瘍の種類と症状を詳しく解説していきましょう。


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良性と悪性の腫瘍はどう違う?

良性と悪性の腫瘍はどう違う

犬は人間と同じ環境で暮らしています。

化学物質(大気の汚れや食べ物)や紫外線、放射線、ストレスなどに人間と同様にさらされているのです。

だから犬も人間と同じような病気になるんですね。

また寿命も延び、徐々に抵抗力がなくなっていくことで発症しやすくなります。

では良性腫瘍と悪性腫瘍(がん)ではどう違うのでしょうか?

悪性腫瘍は、一般に不完全な細胞が異常なスピードで増殖し、他の臓器にも転移していくところに特徴があります。

また「湿潤」といって、健康な細胞との区別がはっきりせず、レントゲンでもギザギザの形に写るんです。

手術で切除しても再発する場合もあり、完治が望めないケースもあります。

一方、良性のものは、増殖のスピードも遅く、転移もなく、健康な細胞との区別がはっきりしているという違いがあります。

しかし体の内部にできるものでは、進行するまで発見できないケースも少なくありません。

また表面にしこりとしてあらわれるものでも、外見(見た目、形、かたさ)だけでは区別が大変難しいのが実際です。

では腫瘍にはどのような種類があるのでしょうか?

まずは腫瘍の種類を良性と悪性に分けて見ていきましょう。

【良性腫瘍】

  • 乳頭腫:口の中や皮膚にできるイボ(カリフラワー状)。
  • 腺種:まぶたや耳の中、肛門の周りなど分泌物を出す腺組織にできる。
  • 脂肪腫:お腹や胸、前足のつけ根(わき)や後足のつけ根(内股)にできる脂肪のかたまり。高齢犬に多い。
  • 骨腫:骨のかたまりのようなしこりができる。
【悪性腫瘍;がん】

  • 髄膜腫:脳腫瘍でもっとも多い。脳を被って保護している膜から発生する。転移は少ない。
  • 扁平上皮がん:目や鼻、口腔内、指にできる。不規則に盛り上がるのが特徴。
  • 腺がん:消化器や乳腺、唾液腺、膵臓、前立腺などの分泌物を出す腺組織にできる。
  • 骨肉腫:四肢の骨にできる。大型犬の前足に多い。肺に転移することが多い。
  • 血管肉腫:血管にできるがん。
  • リンパ腫:全身のリンパ節(あご、わき、内股、膝の裏)にできる。グリグリが触れる。
  • 肥満細胞腫:全身にある肥満細胞が腫瘍化する。

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犬の腫瘍の種類と症状は?

犬の腫瘍の種類と症状は

次に体の各部分に分けて見てみましょう。

【体の各部分にできる腫瘍】

  • 脳腫瘍
  • 消化器の腫瘍
  • 乳腺腫瘍
  • 卵巣腫瘍
  • 精巣腫瘍
  • 骨(軟骨)の腫瘍
  • 血管の腫瘍
  • 皮膚(体表)の腫瘍
  • 口腔の腫瘍

脳腫瘍

脳の腫瘍は発生する部位によって種類が分かれます。

犬に多いのは髄膜腫で、脳を被って(包んで)保護している髄膜という部分に腫瘍ができるものです。

脳を外側から圧迫することで影響を与え、てんかん発作や旋回症(一方向にぐるぐる回る)を起こすことがあります。

治療は、外科手術や放射線治療が行われます。

脳から他の臓器に転移することは少ないとされますが、再発例は見られるようです。

頭長種に多いと言われます。

消化器の腫瘍

消化器では、胃がん、肝臓(肝細胞)がん、直腸がんなどが多く見られます。

元気がなくなる、体重が減少するほか、嘔吐や下痢の頻度が増えたり、お腹がふくらむといった症状が特徴です。

治療は、手術、放射線、抗がん剤、免疫療法(体外で活性化させた免疫細胞を体内に戻す療法)が試みられます。

進行してから発見されることも多いですが、早期発見で治るケースも多いので定期的な検査をおすすめします。

乳腺腫瘍(乳がん)

メスの腫瘍のうちで最も多い腫瘍です。

オスにも乳腺はありますが、オスがかかるのはかなり稀なケース。

お腹や乳頭(第4、5番)の近くにしこりができるので、飼い主が発見できるケースも多いようです。

半数程度が悪性で転移する可能性が高く、良性でも時間の経過とともに悪性に転化する可能性があるので注意が必要です。

また年齢が高くなるにつれてリスクは上がるので日頃のチェックがとても重要です。

繁殖の予定がなければ、早い時期に避妊手術を受けることでリスクを減らすことができます。

卵巣腫瘍

発生率はそれほど高くありませんが、高齢で出産経験の少ない犬にできやすいと言われています。

良性の「顆粒膜細胞腫」や「腺腫」、悪性の「腺がん」、「卵胞膜細胞腫」などがあります。

普通は片側にできることが多く、大きくなると腫瘍に触れて気づくことがあります。

進行すると腹水でお腹がふくれることもあります。

治療は、摘出手術が行われます。

繁殖の予定がなければ、早い時期(成犬になってから)に避妊手術を受けることでリスクを減らすことができます。

精巣腫瘍

精巣(睾丸)にできるがんです。

良性のものが多いとされますが、まれに悪性で転移が認められる場合もあります。

陰嚢(睾丸)がふくれあがって気づくことが多いようです。

停留精巣(睾丸がお腹の中に入っている)の場合はお腹がふくれます。

メスのような乳腺になったり、お腹の脱毛がみられることがあるのも特徴です。

治療は、摘出手術が行われます。

去勢することでリスクは減る(特に停留精巣の場合)ので考慮の余地があるかもしれません。

骨(軟骨)の腫瘍

良性の「骨腫」、悪性の「骨肉腫」や「軟骨肉腫」があります。

足が地面につけられなかったり、引きずって歩くなどの歩行障害がみられることから気づくことが多いようです。

骨肉腫の割合が高く、高齢の大型犬に多い(特に前足)とされています。

治療は摘出手術(足の切断)や抗がん剤治療が行われますが、肺に転移することが多く完治が難しいと言われています。

血管の腫瘍

血管肉腫は心臓や脾臓(ひぞう)、肝臓、胆のうにできるがんです。

肺に転移することが多いことでも知られています。

咳や呼吸困難を起こしやすく、貧血やお腹がふくれることもあります。

皮膚の腫瘍

良性では「腺腫」や「脂肪腫」、「上皮腫」があり、悪性では、「扁平上皮がん」や「腺がん」「肥満細胞腫」などがあります。

皮膚の表面や皮下にしこりが触れるので発見できる場合もあります。

しかし皮膚病や傷と見分けがつきにくい場合もあるので素人判断は禁物です。

【皮膚(体表)の腫瘍】

  • 扁平上皮がん:脱毛し、潰瘍となったりかさぶたができる。頭やお腹、会陰部にできやすい。
  • 腺がん:肛門(肛門嚢アポクリン腺がん)にできやすい。大きくなると転移率が高い。
  • 肥満細胞腫:下半身に多い。皮膚が盛り上がって「こぶ状」「イボ状」となる。

皮膚病や傷に見えることもあるので注意が必要です。

治療は、摘出手術が行われるほか、放射線や抗がん剤が用いられます。

口腔の腫瘍

口の中の粘膜、舌、唇、歯ぐきなどにこぶやしこりができます。

またドロッとしたよだれが多くなったり、大きくなると口が閉じられなくなることもあります。

食べ物が噛めなくなったり(痛そうにする)、口臭がひどくなって気づくこともあるようです。

【口腔の腫瘍】

  • 歯肉にできるエプリス(良性):歯肉が盛り上がって大きくなる。
  • 乳頭腫(良性):口の中にできるカリフラワー状のイボ。
  • 口腔メラノーマ(悪性黒色腫):粘膜に黒いこぶができる。悪性度が高く肺やリンパ節への転移が多い。
  • 扁平上皮がん:粘膜がただれて潰瘍化する。あごまで広がることもある。
  • 線維肉腫:歯ぐきにできることが多く、こぶ状のものが急に大きくなる。

治療は摘出手術が行われます。

口の中の腫瘍は観察することで比較的見つけやすいものです。

普段の歯磨きのときなど、注意して見てみましょう。

いかがでしたか?

腫瘍は人間だけの病気ではないんですね。

個体差はありますが、おおむね7歳を過ぎたらそろそろシニア世代と言えるでしょう。

定期的なチェックで早期発見につとめたいものです。


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