高齢猫の食べない症状が何日も続くとき。水を飲むのと飲まないので原因は違う?

猫は1歳で人間の18歳。
それ以降は人間でいうと1年で4歳ずつ歳をとっていくと言われますね。
7歳を過ぎると徐々に老化が始まります。
外見上の老化はあまり目立ちませんが様々な変化が起こってくるのです。
今回は、高齢猫の食べない症状に焦点を当ててみましょう。
何日も食べないときは何が起こっているのでしょうか?
また水を飲むときと飲まないときではどう違うのでしょうか?
詳しくお話ししていきましょう。
高齢猫の食べない症状が何日も続くのはなぜ?
猫は老化によって食べる量が減ったり、痩せてきたりします。
まずは食事の様子で気づく一般的な変化をまとめてみましょう。
- 食事の食いつきが悪くなる
- 嗅覚や味覚が衰える
- いつも食べている量を残す
- 硬いものが食べられなくなる(歯が弱くなる:グラグラする)
老化によって、嗅覚や味覚が衰え、若い頃より食事に対する反応が鈍くなることがありますね。
歯が弱くなって硬いものを避ける傾向もみられるもの。
また筋肉量や代謝力も衰えるため、食べる量が減り、痩せてくるのも自然な変化のことが多いでしょう。
内臓が弱くなって些細なことで下痢や便秘、嘔吐などの消化器症状が見られ、驚かされることもあるでしょうね。
しかし単に「老化のせい」と考えるのは思わぬ病気を見逃すことになりますよ。
食欲がないこと以外に他の症状が見られない場合は、精神的ストレスや食事内容に問題があるかもしれません。
環境に変化がなかったか考えてみましょう。
また高齢猫用のフードに変えてみたり、ウェットフードを温めてみるなど食事の工夫もできるかもしれません。
一方、食欲そのものはあっても口や歯、のどに症状のある病気で、痛くて食べられないというケースもありますね。
この場合、高齢猫に多い歯周病のほか、一般的に猫風邪やその他の感染症による口内炎、のどの痛みなどが考えられます。
まずは口や歯、のどの観察を行ってみましょう。
でもまる1日以上何も食べなかったり、日ごとに目だって食欲が落ちていくようであれば重篤な病気の存在を疑わなければなりません。
続いて、高齢猫に多い病気から「食べない」症状を考えてみましょう。
水を飲むときと飲まないときで原因は違う?
食欲の低下といっても様々なケースが考えられます。
多飲多尿といって、のどが渇くために水をよく飲み、尿の回数や量も増える症状がひとつの目安になるかもしれません。
また食べないというよりも寝たきりで動けないというケースも考えられます。
食欲が低下して水ばかり飲むときは
高齢猫に特に多い病気に「慢性腎不全」があります。
多くは加齢に伴って、徐々に腎臓が萎縮して硬くなり、機能が失われていく病気です。
猫の死因の中でもっとも多く、はっきりとした症状が出るまで数年の経過があることが知られています。
多飲多尿がみられ、徐々に食欲低下もみられるようになります。
毛づやが悪くなり、痩せてくるのも特徴です。
おう吐や貧血を起こすこともあります。
進行すると尿毒症となり深刻な状態に陥ります。
また「子宮蓄膿症」も高齢猫に発症する病気で、食欲低下と多飲多尿がみられます。
子宮が感染して炎症を起こし、膿がたまってくるのが主な病態です。
お腹がふくれ、おう吐や下痢を起こすタイプ(貯留性)と陰部から膿が排出されるタイプ(開放性)があります。
食べたり飲んだりしないときは
食べたり飲んだりしないときは、そもそもまったく動こうとしないケースが多いようです。
これには3つのケースがあり、いずれも重篤な状態に陥っていることが考えられます。
1つ目は、体のどこかに痛みがある場合です。
目は開いているのに起き上がろうとしない、触ると痛がって鳴く、怒るなどの症状がみられたら骨、筋、神経の問題が起きているかもしれません。
2つ目は、呼んでも反応がなかったり極端に鈍かったりする場合です。
以前に、多飲多尿や食欲亢進、体重減少があり、その後に体力が急激に落ちている可能性があります。
この場合は、上でお話しした腎臓疾患や心臓疾患が進行しているのかもしれません。
心臓の疾患も高齢になるほど増えてきます。
代表的なのは「心筋症」で、心臓の筋肉が正常に働かず、機能が衰え、腹水や四肢の浮腫、呼吸困難、血栓症などの症状を起こします。
3つ目は、急に動かなくなった場合です。
前の日や数時間前と様子が急に変化したときは要注意です。
何らかの急性疾患(急性腎不全など)やケガによる内臓の出血、さらに中毒症状などが考えられます。
これらの場合は、急を要します。
一刻も早く病院に連れて行きましょう。
逆に食べる量が増えてくるときは?
逆に食欲が亢進し、食べる量が増えることもありますよ。
またのどが渇くために水をよく飲み、尿の回数や量も増える「多飲多尿」が同時に見られることがあります。
これらの場合、内分泌(ホルモン)が関係する病気かもしれません。
整理してみましょう。
- クッシング症候群:食欲亢進や多飲多尿、左右対称の脱毛、筋委縮(お腹がふくれる)などが起きる
- 糖尿病:食欲亢進や多飲多尿、体重減少、その他の合併症(白内障、腎症など)がみられる
- 甲状腺機能亢進症:食欲亢進や多飲多尿、脱毛のほか、落ち着かない、攻撃的になるなどの変化がみられる
- 認知症:ご飯を食べたのに繰り返し催促(食欲亢進)したり、夜鳴きする、うろうろ歩き回るなど行動の変化がみられる
いかがでしたか?
猫の場合、見た目以上に老化が進んでいることがあります。
また体の変化に猫自身が戸惑っているかもしれませんね。
愛猫の変化を受け止め、健康管理にはこれまで以上に気をつけてあげましょう。