金魚の【繁殖方法】を解説。適切な時期や水槽の準備について知りたい!

金魚の飼育に慣れてきたら「繁殖」にもぜひ挑戦したいですね。
適切な時期を知り、産卵用水槽の準備がしっかりできれば十分に可能です。
今回は、金魚の繁殖方法について解説していきましょう。
金魚の「繁殖方法」を解説
金魚の繁殖期は「春」です。
とても多産で500から時には5,000個の卵を産むとされています。
一般には、オスが2~4歳、メスが3~5歳が適齢期と言われます。
新たに店頭で求めるなら、あらかじめ年齢(月齢)を聞いておくとよいでしょう。
もし、金魚すくいで入手した小さいものなら、その年に生まれた「当歳魚」と呼ばれるものが多いですね。
オスは2歳以上、メスは3歳以上がベストな時期ですから、同い年の金魚なら3回目の春がベストタイミングですね。
それ以降も繁殖可能ですが、オスもメスも8歳を超えない方がよいでしょう。
適切な時期や水槽の準備について知りたい
金魚は、冬から春にかけての「水温」や「日照時間」の変化をきっかけに繁殖期に入ります。
しかし、ほとんどのご家庭では「室内飼育」をされていることでしょう。
このため、人工的に「冬」の環境を作り、水温の上がる「春(3~4月ごろ)」に合わせて水槽の準備をしていきます。
それでは順番に見ていきますよ。
冬の管理が最大のポイント
室内飼育では、冬の環境を作らなければなりません。
暖房のない部屋などで、5℃前後の水温にキープし、7週間程度過ごさせるようにします。
1月の下旬から2月の上旬あたりからセットするとよいでしょう。
暖房の有無や日光照射などで起こる水温の急激な変化にはくれぐれも注意が必要です。
またこの水温では、あまり餌は食べません。
もし欲しがっても消化不良の原因になったり、食べ残しが水質悪化につながります。
あまり与え過ぎないようにしましょう。
春には水槽の掃除と水換えが必要
3月下旬~4月上旬頃、水温が15℃程度になったら、水槽内の掃除と水換えを行います。
新しい水が刺激となって産卵行動が促されるでしょう。
餌やりも通常に戻しましょう。
健康な親魚を選ぼう
次に健康なオスとメスを選びます。
「オス」は、発情すると胸ビレの前縁とエラぶた・頬に「追い星(最初は白い小さな点)」が現れます。
また生殖孔は細く縦型で、お腹を軽く押すと精液が出るので見分けられるでしょう。
「メス」は、抱卵してお腹が丸くなっています。
また生殖孔が大きく飛び出していることから見分けられるでしょう。
親魚の特徴は遺伝します。
品種として「よりよい特徴」を備えた個体を選びます。
また普段から活発で餌をよく食べる個体を選ぶとよいでしょう。
オスとメスを選んだら引き離し、それぞれ別の水槽に移します。
産卵用水槽を準備しよう
水槽が20℃に近づいたら「産卵用水槽」をセットします。
- 水槽:産卵行動(オスがメスを追い回す)ためには大きめがベター。
- 魚巣:「ホテイアオイ」もしくは束ねた「金魚藻」を浮かべる。
- エアレーション:(稚魚を吸い込まない)ろ過機能のないものを用い、エアの勢いは弱めにする。
- 底ネット:魚巣から落ちた卵を受ける。目の細かいもの。
魚巣は「ビニールひも」を細かく裂いたものでも代用できます。
イソジンなどで消毒してから用いましょう。
「産卵行動」(※後述)は水面近くで行われるのが普通であるため、魚巣は浮かべて設置します。
産卵から孵化の流れ
水温が20℃になったら、いよいよオスとメスを合わせます。
- 産卵用水槽にオスとメスを移す:夕方(6時頃)がベスト。
- 産卵行動が起きる:オスがメスを追いかけ、体をすりつけたり、お腹をつついたりする。
- 産卵の確認(朝):水が精子で白濁している。
- 親魚を水槽から出す:オスとメスを分けて0.5%の塩水浴で休ませる。
- 産卵後:半日程度置き、魚巣(底ネット)をイソジン(0.01%;10ℓあたり1cc)で洗い、雑菌の繁殖を防ぐ。
- 水換えをする:稚魚水槽としてそのまま用いるため(※後述)。
- 4~5日待つ:水温を20~25℃で安定させる。卵に黒い目が現れ始め
- 稚魚の誕生:体長は5mm程度。孵化後、2~3日は水槽の底で動かない。
※産卵後、メスが傷ついている場合はグリーンFゴールドやエルバージュなどで薬浴させる。
条件の整った産卵用水槽に移すと、新しい水に刺激されて「産卵行動」が始まります。
しかしうまくいかない場合もあります。
もし2日以上経っても産卵していなければ、オスとメスを分けて一旦休ませてからリトライしてみましょう。
稚魚を育てよう
次は生まれた稚魚の育て方です。
水槽は、産卵用水槽をそのまま用いることができます。
エアレーションのみ行いましょう。
孵化後10日程度経ったら、最初の水換えをします。
通常の成魚の飼育水と同じく、カルキ抜きと温度の設定をしておきます。
あらかじめ準備しておくと安心ですね。
水深は20cm程度が管理しやすいでしょう。
その後は1週間を目安に水換えを継続します。
稚魚を流してしまわないように、目の細かい網やふるいですくいます。
ポンプを使う場合も、吸い口をスポンジで覆うなどの配慮が必要です。
稚魚の餌はどうする?
稚魚は5mmほどの大きさ。
2~3日間は水槽の底でじっとして動きません。
この期間は、お腹にある「臍嚢(さいのう)」と呼ばれる袋から栄養を得ています。
この栄養がなくなり、泳ぎ始めたら「餌」を与えるタイミングです。
稚魚の餌には「ミジンコ」か「ブラインシュリンプ」が最適です。
稚魚用の人工飼料もありますが、やはり稚魚には「生き餌」がおすすめ。
ミジンコの生き餌も購入できますが、ブラインシュリンプの乾燥卵を孵化させるのが最も手軽で安価な方法です。
3%の食塩水に乾燥卵を入れ、エアレーションをしながら20~25℃程度に保ては1~2日で孵化します。
稚魚が生まれるタイミングで準備しておくとよいでしょう。
餌はなるべく午前中に、5~6回に分けて十分に与えます。
2週間たったら人工飼料に切り替えよう
餌やりを始めて2~3週間経つ頃には食べる量もかなり増えてきます。
このタイミングで人工飼料に切り替えていきましょう。
成魚用の餌を細かくするか、小粒タイプのものを選ぶとよいでしょう。
1ヶ月ほどで1cm程度に成長します。
この頃には成魚と同様の餌が食べられるようになります。
そして3ヶ月頃には、黒味が抜けて、品種本来の色が出てくるでしょう。
これ以降、成魚用水槽に引っ越しも可能です。
丁寧に美しい金魚に育ててあげましょう。
いかがでしたか?
自分だけの「オリジナルの金魚」が生まれたら飼育にも力が入りますね。
成長をつぶさに観察する喜びもひとしおでしょう。
ぜひ繁殖にトライしてみてくださいね。
本稿が、あなたの金魚ライフのお役に立てれば幸いです。