金魚の飼い方【初心者編】。簡単な水槽の作り方から上手な塩の使い方まで。

金魚は飼ったことあるけど、うまくいかなかったという方が多いかもしれません。
でも元々丈夫な魚で、あらゆる水温に適応し、少ないエサでも耐えられる品種が多いのも事実。
だから金魚すくいで獲ったものでも、飼い方しだいで長生きさせることは可能なんです。
せっかく迎えた大切な命。
できれば守ってあげたいものですね。
今回は、初心者向けに、簡単な水槽の作り方から上手な塩の使い方までお話しましょう。
金魚の飼い方:初心者編
まずは金魚の「習性」を知っておきましょう。
金魚にとっては寿命を左右する大切なこと。
基本的なことを知っておけば、大きく間違えることはありませんね。
水温と活動度の関係
金魚などの魚類、は虫類、両生類は「変温動物」に属します。
つまりまわりの水温(金魚など)や気温に伴って体温も変わるんです。
冬の冷たい水温では金魚の体温も低く、じっとして動きません。
一方、夏の温かい水温では体温も上昇し、活発に動きますね。
金魚はあらゆる水温に適応することができ、生存可能な範囲は1~35℃と言われます。
しかし水温によって活動の様子は変わります。
- 5℃以下:冬眠状態
- 10℃以上:活動開始(エサを徐々に食べ始める)
- 15℃以上:活発に動き始める(エサの量が増える)
- 20~28℃:活動や食欲のピーク(成長にも適している)
- 30℃以上:活動度が下がる(エサも食べない)
金魚は、あらゆる水温に適応できる反面、活動度はあきらかに異なってきます。
また急激な温度変化は大の苦手。
5℃以上の急激な変化で死んでしまうこともあります。
現在の水温よりプラス・マイナス5℃は危険信号と考えたほうがよいでしょう。
新たに金魚を迎えたときや水換えのときは特に注意が必要です。
また水槽を置く場所にも配慮しなければなりません。
金魚に適した水温は15~28℃、また急激な(5℃以上)の水温の変化には注意しましょう。
水中の酸素量の考え方
水温と金魚の活動度は密接な関係がありましたね。
これは水中の酸素とも関係しているんです。
問題となるのは、金魚の呼吸数と水温の関係です。
金魚は変温動物ですから、水温が高くなると活発になります。
水温が10℃上がると、呼吸数は約2倍になると言われます。
一方、水中の酸素は、水温が上がるほど溶け込みにくくなるという性質があります。
酸素が必要になる温かい時期は、水中の酸素量が少ないという逆の現象が起きてしまうんです。
だから金魚が必要とする酸素量をキープするためには、エアレーションで酸素を供給すること(後述)が必要です。
また水槽の大きさに見合った金魚の尾数にすること(後述)が重要です。
簡単な水槽の作り方から上手な塩の使い方まで
金魚は「金魚鉢に水を入れてエサをあげれば…」と考える場合もあるでしょう。
カルキ抜きした水さえ使えば、急場はしのげるかもしれません。
でも水面から溶け込む酸素の量には限界があり、金魚の尾数が多いほど、すぐに酸欠状態に置かれてしまいます。
またバクテリアも育たず、水の浄化もできないので、すぐに水質が悪化して病気のもとになってしまいますね。
やはりしっかりとした環境を整えてあげなければ長生きさせることはできません。
そこで金魚を迎える前に行っていただきたいことがあります。
順にみていきましょう。
水槽の作り方
- 水槽:大きさと飼う尾数に注意 ※後述
- エアレーション:酸素を供給する。エアポンプ・エアチューブ・エアストーンを用いる。
- ろ過装置:バクテリアの住む「ろ過材」を通して水をろ過し、酸素を供給して水を循環させる
- ろ過装置の形式:大型水槽(上面式・底面式・外部式)・小型水槽(外掛け式・エアポンプ一体型式)
- ろ過材:バクテリアが繁殖して、フンからできるアンモニアなどを分解する。
- 砂利:表面にバクテリアが繁殖して水を浄化する。水草を植える。5~10mm程度の大きさがよい。
- 水温計・ヒーター(サーモスタット付き):水温を管理して一定に保つ。
- 水草:アナカリス・サジタリア・アヌビアスナナ・カボンバ・ホテイアオイ・セキショウモなど。
- 水槽台:水槽はかなりの重量になるのでしっかり支えられるものが必要。
- あると便利:水槽のフタ(水の蒸発や飛び出しの防止)・コケ取り・ゴミ取りホース・網・水替えポンプ
- 鑑賞用など:蛍光灯(水草の成長や色揚げにも)・バックスクリーン(落ち着く効果も)・アクセサリー
- 45cm(幅):小型なら6尾・中型なら3尾
- 60cm(幅):小型なら10尾・中型なら6尾・大型なら3尾
- 90cm(幅):小型なら15尾・中型なら8尾・大型なら5尾
金魚の大きさ(体長)の目安は、小型(2~3cm)、中型(4~5cm)、大型(6cm~)です。
大型の品種を飼ったり、金魚を大きく育てるためには、やはり大きな水槽が必要です。
では、水槽のセッティングについて順番に見てみましょう。
- 水槽を洗う:洗剤は使わない
- 砂利を洗う:洗剤は使わない。少しずつ水のにごりがなくなるまで洗う。
- 水槽台などに設置する:水を入れてから動かすのは困難。バックスクリーンも同時に貼る。
- ろ過装置をセットする(底面式の場合):他の形式のものなら他の機器と同時でよい。
- 砂利・小石を敷く:4~5cmの高さまで。奥側をすこし高めにするのがコツ。
- アクセサリー(飾り)を入れる:金魚が傷つかないものを選ぶ。
- 水を入れる:水の作り方の項参照のこと。
- 水草を植える:水草は流木に活着させる方法もある。
- その他の機器をセットする:エアレーション、ヒーター類、蛍光灯など一式をセットする。
- 各機器の電源を入れる:作動チェックと調節を行う。空気の吹出し量を調節する。
- 水温を調節する:15~28℃に調節する。エアコンの稼働・停止時、朝昼夜の温度変化を把握する。
- 飼育環境を調整する:そのまま2週間程度置いて、環境が安定するまで待つ。
- 金魚のトリートメントを行う:水槽の環境が整うまでの2週間で塩水浴を行う(塩水浴の項参照)。
- 水合わせをして金魚を入れる:水合わせの項参照のこと。
飼育水の作り方
飼育水には「水道水」がもっとも適しています。
日本の水道水は病原菌も存在せず、水質も金魚が好む軟水でpH(ペーハー)も中性ですね。
しかしそのままではカルキ(塩素)が含まれているため使えません。
カルキは人体には影響がないと言われますが、金魚にとってはかなり有害な物質です。
飼育水にする前にカルキ抜きをしましょう。
やり方はいくつかありますよ。
- 汲み置き法:清潔なバケツなどに入れて放置する(エアレーションするとベター)。
- 市販の中和剤を使用する方法:ハイポ(チオ硫酸ナトリウム)を用いると短時間で可能。
- ビタミンCの還元作用を利用する方法:緊急の対処として市販のビタミンC製剤(1粒)を用いることも可能。
使う水の量や時間的なことも考慮して使い分けるといいですね。
また金魚すくいやペットショップで購入した金魚は水槽に入れる前にトリートメントした方が無難です。
塩を用いる「塩水浴」という方法があります(※後述)。
初めて金魚を迎える場合や元々あった水槽に新たな金魚を追加する場合にも大切な作業になりますよ。
水合わせとは?
水槽のセッティングが完了したらいよいよ金魚を移していきます。
このとき重要なのが「水合わせ」の作業。
金魚を連れて来たときに入っていた水の温度と水槽の温度があまりに異なると(健康なら2~3℃は許容範囲)かなりのストレスになります。
特に水温が高い方(連れてきたときは高いことが多い)から低い方に移すときはより大きなストレスがかかりますよ。
これを避けるのが水合わせです。
やり方はいたって簡単。
まずは水槽側の水温を確認しましょう。
汲み置き法で作った水(特に太陽に当てたもの)では温度が高い場合がありますので注意しましょう。
確認出来たら、金魚が入った袋を水槽に浮かべて10分ほど置きましょう。
それから袋の口を開いて、金魚が自分で水槽に移るのを待ちます。
これで完了です。
エサの与え方
エサは、市販の配合飼料を与えます。
雑食性の金魚に合った配合がなされているのでバランスがとれたものですね。
金魚の口の大きさに合ったものを選びましょう。
- ペレット:固形(3~7mm)のエサ。大型の金魚向き。水に浮くタイプの方が掃除は簡単。
- クランブル:顆粒のエサ。小型の金魚向き。小さいので与え過ぎに注意。食べ残しは水質悪化の原因にも。
- マッシュ:粉末のエサ。そのまま与えるものではなく、自家配合の原料にする。
- 目的別飼料:色揚げ用(体の発色をよくする)、育成用、越冬用など。
- 天然飼料(生餌):ミジンコ、アカムシ、イトミミズ、ブラインシュリンプなど。
エサを与える量や回数は意外と難しいものです。
可愛いからといってあげ過ぎると食べ残して水質悪化の原因になってしまいます。
また水温によって金魚の活動量が変わるので消化不良を起こすこともありますよ。
金魚の成長度合いも変わってきますので調整が必要ですね。
- 金魚の口に合ったもの:金魚は噛むことができないため、口より大きなものはNG。
- 1日に数回に分ける:金魚には胃がないため、1度に多くは食べられない。
- ちょっと少なめが適量:5分程度で食べきれる量。
- 大きな水槽に移すことが可能で、大きく育てたい場合:4~5回/日
- 水槽が小さいため、体を小さいままにしておきたい場合:1~2回/日
- 冬季のエサの量:水温5℃以下では冬眠状態に入るので食べない。10~15℃以上になると食べる。
ここでちょっと一休み。
これから金魚をショップに買いに行こうとされている方、またすでに金魚すくいでゲットした方もおられることでしょう。
さまざまな金魚の品種をのぞいてみましょう。
初心者におすすめの金魚は?
金魚にはさまざまな種類(品種)があります。
最初は丈夫で飼いやすいものから始めてみましょう。
- 和金型:祖先のフナに近い流線形のスタイル。とても活発で丈夫。
- 琉金型:口もとがとがり、胴体が丸く、尾ビレが大きく優雅。もっとも金魚らしい姿。
- オランダ獅子頭型:胴体がずんぐりと太く琉金より長い。頭に肉瘤があるのが最大の特徴。
- らんちゅう型:背ビレがないのが最大の特徴。各ヒレが短く泳ぎは下手だが愛嬌がある。性格は神経質。
- 和金(ワキン):和金型。歴史が古く、金魚すくいの定番。とても丈夫。大きく育てることも可能。
- コメット:和金型。流線形のボディと長い吹き流し尾が彗星(コメット)の由来。とても丈夫。
- 朱文金(シュブンキン):和金型。コメットに似たボディ。キャリコ(まだら)の体色。とても丈夫。
- 琉金(リュウキン):琉金型。大きな尾びれをヒラヒラと振って泳ぐ姿が美しい。丈夫。
- キャリコ琉金:琉金型。琉金と似たスタイル。キャリコ(まだら)の体色が面白く美しい。丈夫。
- オランダ獅子頭(シシガシラ):オランダ獅子頭型。頭の肉瘤が特徴。丈夫。大きく育てることもできる。
- 丹頂(タンチョウ):オランダ獅子頭型。純白の体色と頭の真っ赤な肉瘤が丹頂鶴をイメージさせる。丈夫。
では解説を続けましょう。
塩を上手に使おう
0.5%の食塩水の中は金魚にとって居心地のよい環境です。
浸透圧の関係で呼吸も楽になるようです。
金魚すくいやペットショップで買ってきた金魚をトリートメントするのに有効です。
「塩水浴」や「食塩浴」と言われていますね。
すでに金魚がいる水槽に追加するときにも重要な作業になりますよ。
1リットルの水に5g(ティースプーンに1杯程度)の塩を入れたら0.5%の塩水ができますね。
また金魚に元気がないときや病気の初期症状を見つけときも試してみましょう。
病気の基本的な治療法にもなりますよ。
- 場所を用意する:大型バケツを洗って(新品を水洗い)、水(カルキ抜き)を入れる。
- 5%の塩水を作る:10リットルあたり50gの塩を入れる。
- 水温を調節する:15~28℃の範囲で、現在金魚がいる水温に近づける。
- 酸素を供給する:エアレーションがあればベター。
- 金魚を入れる:水合わせをしてから。
- 金魚の様子を観察する:あまりかまわない。
飼育上の注意点:病気にさせないコツ
金魚を健康に長生きさせるためには、水温や水質の管理、エサの調節が重要です。
また水替えや大掃除などの水槽のメンテナンスも不可欠です。
最後にまとめておきましょう。
- 水温を15~28℃にキープする。
- エサを与え過ぎない。
- 水質を悪化させない(水槽のメンテナンス)。
- 金魚にストレスを与えない:急激な水温変化や振動、騒音に注意する。
- 冬季は水温が下がってくる夕方以降にエサを与えない(消化不良の原因)。
- 相性の合わない魚と混泳させない。
- 群れから離れている
- じっとして動かない
- 水面近くで動かない(鼻上げがみられる)
- 激しく泳いだり、体をこすりつけたりする
- 横向きになったりひっくり返ったりしている
- エサを食べない
- フンに異常がある(フンが白い、切れ切れになっている、水面に浮く)
- 色が褪せてきた
- 白や赤の斑点がある
- 綿状のものが付着している
- ヒレに異常がある(切れている、変色している)
- エラに異常がある(赤黒い)
- 寄生虫がいる(イカリムシ、ウオジラミなど肉眼で確認できることも)
- 水温チェック:15~28℃にキープ。急激な水温変化がないか?
- 水質チェック:エアの泡が消えない、白く濁る、茶褐色に変色する、水が粘つくなどの変化がないか?
- 酸素のチェック:鼻上げ(口を水面でパクパクする行動:酸欠のサイン)は見られないか?
- 機器のチェック:正常に作動しているか?
- 水換え:夏は2回/月、冬は1回/月程度が目安。1/2~1/3の量を替える方がストレスが少ない。
- ろ過材の掃除:1~2回/月が目安。バクテリアを流さないように軽く汚れを落とす程度。水換えとは別のときに。
- 大掃除:1回/6ヶ月が目安。ガラス面、砂利(洗いすぎないこと)、各機器を飼育水で洗浄する。
いかがでしたか?
金魚は本来、寿命の長い生き物です。
しっかりと環境を整えてあげましょう。