ウサギの病気で血尿が出るとき!疑うべき3つの病気とその治療法とは。

ウサギの尿をチェックすることで病気を早期に発見することができます。
オレンジや赤、コーヒー色などさまざま。
赤っぽいからといって必ずしも病気とは限りません。
でも血尿なら、尿石症(尿路結石)や膀胱炎、腎不全の3つの泌尿器系の病気が疑われますね。
今回は、尿の色の見極め方と病気の症状、そしてその治療法について解説していきましょう。
ウサギの病気で血尿が出るとき
尿の色で異常を察知するためには、普段から正常な尿の色を知っておくことが大切ですね。
では尿の色の違いとその原因についてまとめてみましょう。
オレンジ色は食べ物の色素かも
血液が混じった尿の場合と、単に色素が混ざっているだけの場合があります。
オレンジ色(黄色や茶色のことも)の場合、食物由来の色素(ポルフィリン尿)である可能性がありますよ。
色素が原因でオレンジ色になっている場合は、病気ではありません。
もちろん治療の必要はありませんよ。
赤色なら血液なの?
比較的赤いと感じられる尿でも、色素なのか血液なのか、素人では判断するのが難しいもの。
色素の場合、同じくベータカロテンなどの成分に由来するものです。
副食でニンジンなどベータカロテンを含む食べ物を与えた場合は注意しておきましょう。
でも本当に血液で尿が赤くなっている場合には、尿石症や膀胱炎、腎不全の可能性があります。
その後のウサギの行動がヒントになる場合もありますので、注意深く観察してみましょう。
暗赤色やコーヒー色も血尿なの?
暗赤色やコーヒー色の場合は、細菌感染による膀胱炎である場合が考えられます。
尿石症による膀胱炎よりも頻度が高く、様々な細菌によって膀胱に炎症が起きている状態です。
尿の色がかなり濃いので比較的わかりやすいでしょう。
白色か透明は区別できる?
血尿ではありませんが、白っぽい尿の場合、サラサラした結晶が混じっていることがあります。
これは尿といっしょに排出されたカルシウムです。
このカルシウムの粒が大きくなると結石化して「尿石症」になってしまいます。
この場合、尿石が詰まって尿が出なくなる(尿閉)可能性があるのでとても注意が必要です。
ペットシーツなどを敷いている場合、一見して透明(正常な尿)なのか白い尿なのか区別できないことがあります。
取り替える時は注意深く観察するクセをつけましょう。
血尿時の行動確認ポイント
血尿が出ている場合、何らかの泌尿器の病気になっているかもしれませんね。
なるべく早く獣医さんに診てもらう必要があります。
病院に行くとき、日頃の正確な情報を伝える必要があります。
下記の順序でチェックしてみましょう。
血尿が出る頻度は?
尿が出るたびに血液が混じる場合には、病気の可能性があります。
たまにオレンジや赤の場合には、色素尿(ポルフィリン尿)である可能性もありますよ。
日頃の様子をみて体調不良でなければ様子を見てみましょう。
いつもの様子と変わりない?
うさぎと触れ合っていて、何かいつもと様子が違うと感じることはありませんか?
- いつも元気よく触れ合っていたのに、消極的である
- なかなか食べようとしない、食べ残しが多い(食欲低下)
- おしっこをするときに痛がっている様子(腰を浮かせるなど)をみせる
- 歯ぎしりをする(痛みがある)
- おしっこの量がいつもより少ない
- 頻繁におしっこをする
- 尿かぶれをしている
- 尿漏れをしている
こんな変化が合わせてみられたら病気の可能性があります。
病院に行くときは、ウサギの尿も可能な限り持っていきます。
弁当用のしょう油(ソース)入れがよいでしょう。
すぐに行けないときは、冷暗所(10度以下)の場所で保存しておいたほうが賢明です。
また行動の変化についても獣医さんに正確に伝えましょう。
疑うべき3つの病気とその治療法(予防法)とは
気になる3つの病気について整理してみましょう。
- 尿石症(尿路結石)
- 膀胱炎
- 腎不全
これらの病気はいづれも泌尿器系の病気で互いに関連することがあります。
尿石症の原因は水と食べ物?
尿石症は、腎臓、尿管、膀胱、尿道からなる尿路に結石ができた状態ですね。
原因には、膀胱炎(慢性化)、水分不足、カルシウム、たんぱく質、塩分の過剰摂取、成熟前の去勢による尿道の形成不全などが考えられます。
症状は、血尿や頻尿のほか、痛みのために背中を丸めていたり、歯ぎしりしたりします。
尿石が完全に詰まってしまうと、尿が出なくなり、膀胱が破裂したり腎不全を起こすなど重篤な状態に陥ってしまいます。
治療法は、内科的に尿石を溶かしたり、手術で取り除いたりすることになります。
ウサギには大きな負担となってしまいますので、予防してあげたいものですね。
予防には、適切な水分量の摂取が重要です。
また尿量とのバランスも考えてみましょう。
1日の飲水量は、体重1kgにつき50~100ml、1日の尿量は、体重1kgにつき25~50mlが目安になります。
いつでも新鮮な水が飲める状態にしておくことが必要ですよ。
ペレットなど乾燥したエサを与えているときは、必ず水分の多い野菜をいっしょに与える配慮が必要になりますね。
また高カルシウムの食事を続けると尿石ができやすくなります。
大人になってからは、イネ科のチモシー(低カルシウム、低たんぱく)を多めにしていきましょう。
膀胱炎の原因は感染が多い?
膀胱炎は、外界から侵入する細菌に感染することが原因です。
また尿石症や膀胱腫瘍と合併することもありますね。
症状は、頻尿(1回の量は少ない)、血尿、膿尿(チーズのような膿が混ざる)です。
治療は、膀胱炎の原因に対応した投薬が行われます。
予防は、やはり清潔な飼育環境を整えることが肝心ですね。
また早期発見が大切です。
でも乾草の上に排尿した場合は気づきにくいもの。
ケージの床がいつも湿っている、尿が臭い、行動がいつもと違うなどの変化に気づいたら、白い紙に尿を吸い取って確認してみるとよいでしょう。
腎不全のケースはさまざま
腎不全は、腎臓の機能の75%が障害された状態をいいます。
また病態や原因はさまざまなんです。
腎不全は、大きく急性と慢性に分けることができます。
「急性腎不全」では、腎前性(心臓や脱水などが原因)と腎性(腎臓そのものの障害)、腎後性(尿の排泄路の障害)があります。
多くは腎後性と言われ、尿石症や腫瘍による閉塞、事故などによる膀胱の破裂など、さらに細菌・ウィルスの感染によるものもあります。
症状は、血尿、無尿(乏尿)、食欲低下がみられ、血液中の毒素を処理できなくなる尿毒症という状態となり、急激に重篤化するため、緊急の対処が必要です。
一方、「慢性腎不全」は、慢性の感染症や老化による機能低下が原因です。
経過が長く、ゆっくりと進行するため気づきにくいのが特徴です。
症状は、初期は全くの無症状。
徐々に多飲多尿がみられ、進行するにつれ、食欲低下や体重減少もみられるようになります。
また歯ぐきが白い、ふらふらするなどの貧血症状がみられ、毛づやがなくなってくるなど目立った変化がみられるようになります。
さらに進行すると、下痢を起こしたり、口からアンモニア臭がする、けいれんを起こすなどの尿毒症の症状が強くなってきます。
治療は、腎機能の回復は困難であるため、対症療法としての食事療法(たんぱく質や塩分の制限)や強制給餌(食欲がない場合)、輸液などが行われます。
腎不全は経過が長い分、なるべく早く気づいてあげることが重要ですね。
いかがでしたか?
この稿があなたのウサギの健康維持にお役に立てれば幸いです。