カワウソがペット向きでない4つの理由。大変なのはどんなところ?

カワウソはイタチ科の肉食動物。
なかでも動物園や水族館で大人気なのがコツメカワウソですね。
あまりの可愛らしさから、家庭でも飼育したいと思われる方も多いでしょう。
実際、飼育例があるものの、決してペット向きの生き物ではないようです。
今回はその大変な点についてお話しましょう。
カワウソってどんな生き物?
かつて日本にもいたカワウソ(ニホンカワウソ)ですが、その良質な毛皮を目的とした乱獲のため、すでに絶滅したと言われています。
一方、現存するその他のカワウソも同様に乱獲や生息地の狭小化、環境汚染によるエサの減少などによってその数は減少傾向。
世界中ですでに絶滅した地域もあり、ワシントン条約などによって国際的に保護される貴重な生き物なんです。
では現存するカワウソの仲間たちを少しのぞいてみましょう。
コツメカワウソ
コツメカワウソは、動物園や水族館で注目の種類ですね。
体長45~61cm(カワウソの種類では最小)。
体長の50%ほどもある長いしっぽが印象的です。
泳ぐときの推進力や方向転換に使うほか、陸上で立ち上がるときにも使います。
体重は2.7~5.4kg。
小型の猫ぐらいの大きさでしょうか。
とても好奇心旺盛で、常にせわしなく動き回っている姿は見ていて飽きません。
手先も器用で、周囲にあるものを使って上手に遊びます。
愛くるしい表情と相まって人気なのもうなずけますね。
カナダカワウソ
ワシントン条約付属書Ⅱ類。
体長66~107cm。
体重5.0~13.7kg。
ツメナシカワウソ
ワシントン条約付属書Ⅱ類。
体長76.2~88.0cm。
体重11.5~21.0kg。
ユーラシアカワウソ
ワシントン条約付属書Ⅰ類。
別名ヨーロッパカワウソ。
体長57.0~70.0cm。
体重4.1~16kg。
ビロードカワウソ
ワシントン条約付属書Ⅱ類。
体長65.0~79.0cm。
体重7.0~11.0kg。
これら愛らしいカワウソたち。
ペットとしての飼育例も紹介されていることから、ペットとして迎えたいという方も増えています。
しかし、入手の問題のほか、飼育するとなると簡単にはいかないようです。
カワウソがペット向きでない4つの理由
カワウソの飼育はとても大変。
それには大きく分けて4つの理由があります。
入手が困難であること
カワウソは、ワシントン条約で保護されている動物。
国際取引が規制されているため、ワシントン条約付属書Ⅱ類に指定されている種類でも、商業取引には輸出国政府の許可書が必要。
Ⅰ類ともなると商業取引は原則禁止で、学術的な目的などを除いて輸入は極めて困難となります。
だからペット目的の輸入はなかなか難しい状況ですね。
また国内で繁殖した個体の取引には規制が及ばないとはいえ、数は極端に少なく、やはり入手は困難。
取引金額もかなりの高額になります。
仮に入手する機会があったとしても、密輸された個体だったなんてことだけは避けたいですね。
マーキングが派手であること
コツメカワウソに限らず、カワウソは肉食動物。
エサとなる獲物を確保するため、縄張り意識がとても強いのが特徴です。
そのためマーキングは必須の行動。
だからオシッコやウンチをかなりの範囲にまき散らします。
少なくとも1ヶ所に留まるよう、トイレのしつけは根気強く十分に行わなければなりません。
とても大食漢であること
カワウソのエサは魚類をはじめ、ザリガニやエビ、カニ、貝類、そして爬虫類や昆虫類に及びます。
また飼育下では、栄養のバランスを取るために、人工のペレットなども与える必要があります。
さらに体温を保つために、1日当たり体重の15~20%の量が必要とされます。
冷たい水中で獲物を捜す必要がないとはいえ、かなりの量のエサを毎日確保しなければなりません。
少量のフードで済む犬や猫と比べてかなりのハードルと考えてよいでしょう。
活動量がとても多いこと
カワウソは活動量がとても多く、いつも動き回っている動物です。
また本来、水辺に棲んで魚介類をエサにしています。
だからストレスにならないよう、広い活動スペースを確保し、水浴びもさせなければなりません。
さらに手先も器用なため、部屋中のあらゆるものをおもちゃにするでしょう。
危険がないよう、常に細心の注意が必要です。
外出時、ケージに入れようと思っても、簡単にはつかまりません。
肉食動物らしい鋭い歯と強いアゴで噛みつかれたら大ケガにつながるのも想像に難くありません。
飼育するには十分なスペースと設備が必要になるでしょう。
いかがでしたか?
魅力的な反面、野生度が高く、犬や猫のように人間の生活に合わせてくれる存在ではないようです。
仮に入手できたとしてもかなりの覚悟が必要です。
カワウソたちを不幸にしないためにも、動物園や水族館で触れ合う程度にとどめる方がいいのかもしれませんね。
本稿があなたのペットライフのお役に立てれば幸いです。