フトアゴヒゲトカゲの種類で人気なのは?飼育環境や餌の基本もあわせて解説。

フトアゴヒゲトカゲを「コンパニオン・アニマル」として迎える人が増えています。
圧倒的な「存在感」とキュートな「しぐさ」のギャップが何とも魅力的。
人にもよく馴れ、スキンシップも可能なことから、犬や猫のような感覚で飼うことも可能ですよ。
今回は、フトアゴヒゲトカゲの人気の種類(モルフ)を紹介。
そして初心者向けに適切な飼育環境や餌の基本もあわせて解説していきましょう。
フトアゴヒゲトカゲの種類で人気なのは?
フトアゴの英名は、Central bearded dragon。
確かに一見コワモテでまさにドラゴンの雰囲気ですね。
でも首を傾げたり、手をぐるぐる回したり(アームウェービング)、といった「しぐさ」がとてもチャーミング。
全長は最大で約50cm(尾を含む)。
寿命は10年以上にも及びます。
出身地はオーストラリアの砂漠や岩場ですが、野生の個体が輸入されることはありません。
だからペットショップにいるのはすべて「ブリーディング(繁殖)個体」なんです。
長いブリーディングのなかで、選別交配が行われ、さまざまな特徴が「モルフ」として定着しています。
それではフトアゴの多彩なモルフを見ていきましょう。
ノーマル
ノーマルの体色は灰色から褐色。
堂々とした本来の野生の姿を彷彿とさせます。
イエロー(シトラス)
選別交配によって作られたモルフ。
鮮やかな色彩が印象的です。
オレンジ(レッド)
存在感抜群の美しいカラー。
流通量はイエローと同様に少なめ。
ハイポメラニスティック
ハイポメラニスティックとは、黒色色素が減退したもの。
クリアネイルとも呼ばれます。
ハイポ・トランスルーセント
ハイポメラニスティックとトランスルーセント(半透明)の特徴を備えたもの。
とても神秘的な雰囲気を持ちます。
レザーバック
背中の鱗がなめらか。
体側のトゲが少なめという特徴も。
シルクバック
皮膚が薄く、シルクのような触り心地。
他のモルフとは一線を画します。
飼育環境や餌の基本を解説
続いてフトアゴの飼育についてお話していきましょう。
フトアゴ(爬虫類)は「変温動物」です。
体温の調節や新陳代謝(脱皮を含む)、骨の発育のためにも、「日光浴」は欠かせません。
また砂漠地帯の出身であるため、「温かく」そして「乾燥した」環境を再現する必要があります。
フトアゴは「雑食性」です。
餌は、人工飼料もありますが、コオロギなどの「生餌」と「野菜」がメインになります。
まずは、これら基本の3点を押さえましょう。
ではフトアゴの飼育環境についてまとめてみますよ。
- ケージ:幅90cm以上。前開き(上から手を入れると天敵と勘違いするため)がベター。
- 紫外線ライト(蛍光灯):日光浴(新陳代謝・骨の成長のため)の代替。昼間のみ点灯。
- 保温球:ケージ全体の保温。成体では昼20~30℃、幼体では昼間28~30℃、共通して夜間25℃前後。
- サーモスタット:保温球の下に設置する。
- パネルヒーター:ケージ全体の保温。ケージの下に敷く。
- バスキングライト:局所の保温。幼体・成体に共通して、昼のみ35~40℃。
- 温度計・湿度計:温度計は、床とバスキングライト付近の2ヶ所に設置。
- 床材:乾燥が保てるもの。クルミ殻・バーク材・天然砂・ペットシーツ(幼体の場合)など。
- 岩:バスキングライトの下に設置する。上に登って日光浴の場所になる。
- シェルター:隠れ場所として設置する。岩と兼用のバスキングシェルターも。
- 流木・枝:半樹上性のため、木登りが得意。保温球と離れた位置に設置する。
- 餌トレイ・水トレイ:餌・水については後述。
「紫外線ライト」は、日光(紫外線・明るさ)の代りです。
昼行性のフトアゴに昼夜のメリハリをつける役割もあります。
また「保温球・パネルヒーター(全体)」と「バスキングライト(局所)」で温度差をつくります。
変温動物であるフトアゴ自身に、居場所を選ばせるとよいでしょう。
さらに自然の環境に近づけるため、昼夜の温度差を設定しましょう。
湿度は極端な乾燥と多湿を避け、ケージの通気性や「床材」によって調節します。
フトアゴは結構「大食漢」で、フンの量も多めです。
衛生状態を保つため、フンをしたらなるべく早く、床材は一緒に取り出すとよいでしょう。
フトアゴの餌の基本は?
フトアゴは雑食性です。
餌の種類をまとめてみましょう。
- 昆虫:コオロギ(バランスがよい)・ミルワーム(高たんぱく高脂肪)・シルクワーム(低たんぱく高カルシウム)
- 昆虫加工品:乾燥コオロギ・冷凍コオロギ・冷凍ミルワーム(生餌を与えられないときのつなぎとして)
- その他の生餌:ハニーワーム(高たんぱく)・デュビア(栄養価が高い)
- 野菜・野草:キャベツ・小松菜・チンゲン菜・水菜・ニンジン・タンポポ・オオバコ
- 果物:リンゴ・バナナ・イチゴ・オレンジ(糖質が多い)
- 専用フード:成長ステージに合わせた栄養素と粒の大きさが選べる
- サプリメント:粉末のカルシウムやビタミンを餌にまぶして与える
「餌」は、体が十分に温まって、活動モードになってから与えます。
午前と午後の2回に分けるとよいでしょう。
栄養バランスのとれた「人工フード」と水分補給を兼ねた「野菜」を先に与え、後から「昆虫」を与えます。
乾燥フードであればふやかして、野菜は食べやすい大きさにちぎってから与えましょう。
フトアゴは、動くものに反応します。
昆虫に限らず「ピンセット」でつまんで目の前で揺らしてやると食いつきがよくなります。
拒食傾向にある場合には、嗜好性の高いハニーワームや栄養価の高いデュビアを試してみるとよいでしょう。
ミルワームも嗜好性が高い餌ですが、消化があまりよくなく、脂質も高いので、常食させるのは避けましょう。
また年齢によって、食事内容は変えていきます。
「幼体」では、昆虫を中心に、「成長期」には人工フードと野菜を増やし、食べるだけ与えます。
「成体」になったら、昆虫は副食程度にして、全体量も80%程度に抑えます。
時折、サプリメントを餌にまぶして与えるとよいでしょう
「水」は、トレイを用意しますが、認識しないこともあります。
上から水を垂らして動きをつけると反応がよくなります。
ケージの壁面にスプレーして舐めさせるのもよいでしょう。
温浴と日光浴は必要?
「温浴」とは、いわゆるお風呂のこと。
体の汚れを落としたり、皮膚を柔らかくして脱皮の手助けをする目的で行います。
温浴時に水を飲む個体もいるので、水分補給の意味合いもあります。
35℃程度のお湯を体全体が浸かる程度(足がつく水位)に貯めて温浴させます。
汚れている部分は、軟らかい布や歯ブラシで軽くこすってあげるとよいでしょう。
一方、自然の太陽に当たる機会も欲しいところ。
たまには「日光浴」もさせてあげましょう。
外気温は25℃程度がベストです。
幼体では、脱水に注意し、短時間にしておきましょう。
成体では、逃げ出さないようにハーネスをつけるか、簡易のケースに入れておくとよいでしょう。
いかがでしたか?
爬虫類は、もう一部のマニアだけのものではありません。
しっかりと愛情を注げば、コンパニオンアニマルとして応えてくれる存在です。
本稿があなたのペットライフのお役に立てれば幸いです。