ウサギに多い病気。腫瘍の早期発見のために知っておきたい症状とは。

体の「しこり」を発見して心配になる飼い主さんは多いことでしょう。
様々な場所に腫瘍ができますが、しこり(腫瘤)として発見できるものもあります。
特に乳腺のしこり(乳がん)などは飼い主が発見しやすいものの1つです。
今回は、腫瘍の早期発見のために知っておきたい症状とその原因について解説していきましょう。
メスのウサギの気になる病気の症状とは
「乳がん」や「子宮腺がん」はメスのウサギがかかりやすい病気です。
その症状と原因を見ていきましょう。
乳がんの症状と原因は
乳がんは、ホルモン異常や遺伝が関わるとされています。
乳腺にしこりができて、進行するとその部分が裂けて出血することがあります。
肺やリンパ節に転移しやすいと言われていますので早期発見が重要です。
しかし元気がなくなったり、食欲が低下したりといった明らかな症状が出ないのが特徴と言われています
また子宮の疾患(子宮がんなど)と関連して起こることもあるので注意が必要です。
乳がんの予防と対処法は
がんの除去手術や化学療法が施されます。
早期発見がとても重要です。
ボディチェックで発見されることが多いようです。
乳腺部分にしこりがないか確認するようにしましょう。
乳腺にしこりが感じられるその他の病気とは
同じ乳腺の部分にしこりを感じても原因が異なる場合があります。
整理してみましょう。
- 乳腺炎:細菌感染よって、しこり、熱感、皮膚の赤みなどの炎症症状がみられる。
- 乳腺嚢胞(のうほう):卵巣ホルモンの分泌異常が原因で乳腺に体液が溜まる症状がみられる。
- 乳腺腫瘍(良性):乳腺炎や乳腺嚢胞が進行して起きることがある。
子宮腺がんの症状と原因は
子宮に悪性の腫瘍ができます。
メスうさぎの死因の半数以上とも言われています。
この場合、しこりとしては発見できません。
しかし進行すると陰部から分泌物が出たり、出血したりします。
放置すると全身に転移する可能性があり、元気がなくなってきて食欲も低下していきます。
また似た症状が起きる病気に「子宮内膜炎」があります。
同じく陰部から血液のような分泌物が出て気付くことが多いようです。
どちらも3歳以降にかかる場合が多いとされており、年齢とともにリスクが高まっていきます。
子宮腺がんの予防と対処法は
治療は、卵巣と子宮の摘出手術が行われます。
早期発見がとても重要になります。
定期的に健診を受けておきましょう。
繁殖の予定がなければ、生後5~8か月から3歳になるまでの間に避妊手術を受けることも1つの方法です。
体力的には1歳~1歳半ぐらいまでがベターと言われます。
- 手術前のリスク:年を取ると腹部に脂肪がつきやすく手術がしづらい
- 手術中のリスク:出血が多くなりやすい
- 手術後のリスク:麻酔の覚醒が悪く、食欲が戻りにくい
また避妊手術をすることで、巣作りのための縄張り意識が弱くなり、性格が穏やかになることもあるようです。
しこりとして発見できる腫瘍の種類とは
ウサギの体表面にみられるもので、しこり(腫瘤)として発見できるものがあります。
まずは腫瘍と腫瘍と似たものが分類できますので整理してみましょう。
- 非腫瘍性(腫瘍ではないもの):皮下膿瘍(ひかのうよう)、肉芽腫(にくがしゅ)など
- 腫瘍性(良性):乳腺腫瘍、皮膚腫瘍(毛芽腫、線維種など)
- 腫瘍性(悪性):乳がん、子宮腺がん、皮膚腫瘍(扁平上皮癌など)
皮下膿瘍(ひかのうよう)はうみが固まったもの
皮下膿瘍では、皮膚の下にしこりができます。
このしこりは膿(うみ)が固まったものです。
この場合、様々な原因が考えられます。
- 目の下やあごの下:「不正咬合」などで起こる歯根の炎症が原因
- ケガをした後にできる:ケージの衛生状態が原因
- 足の裏:肥満や運動不足(病気で元気がない場合も)、ケージの衛生状態が原因
- 膣や肛門周囲:尿路の病気や肥満、ケージの衛生状態が原因
その他、筋肉の中や消化器に出来る場合は外からは分かりません。
皮下膿瘍の予防と対処法は
膿瘍の摘出手術や抗生物質による治療が施されます。
放置すると皮膚が破裂してしまうことがあります。
またウサギの場合、治りにくく長時間を要する(数週間以上)と言われています。
ボディチェックで発見できた場合は、早めに診察を受けましょう。
また再発を繰り返す場合もありますので、予防に努めることが肝心です。
腫瘍には悪性と良性、がん腫と肉腫がある
腫瘍にも様々な種類があります。
簡単に整理してみましょう。
- 異常な細胞の増殖が起こらない。
- 健康な細胞とはっきり区別がつく。
- 転移をしない。
【悪性腫瘍】
- 栄養を横取りして、無秩序に異常な細胞が増殖する。
- 健康な細胞とはっきり区別がつかない。
- リンパや血流にのって転移する。
【がん腫と肉腫】
- がん腫:上皮(皮膚や内臓の粘膜など)や臓器の中にできるもの。
- 肉腫:主に骨や筋肉にできるもの。
いかがでしたか?
ウサギの腫瘍にも様々な種類があります。
飼い主さんが異変に気づいてあげることで、早く治療を始めることができます。
良性腫瘍であっても、できた場所によっては問題となったり、途中でがん化することもあります。
悪性腫瘍でも、できた場所や進行の具合、年齢などによって多くの治療方針が考えられます。
その子に合った治療法を獣医さんと相談してみましょう。