犬の鼻水が多いときの原因を徹底解説。透明と黄色の場合でどう違う?

愛犬の鼻水が多い。
色が黄色い、透明、またくしゃみが出るときはどう違うの?
苦しそうにしていたり鼻血が混ざっているときは重い病気?
鼻に症状が出る病気の原因もさまざまです。
それでは、詳しくお話ししていきましょう。
犬の鼻水が多いときの原因は
犬の嗅覚はヒトの100万倍とも言われ、3km先の飼い主さんの匂いも嗅ぎ分けられるほど。
視覚よりも嗅覚で情報収集している犬にとって最も大切な器官と言っても過言ではありませんね。
犬の鼻の先はいつも湿っています。
これは空気中を漂う匂いの粒子を鼻に張り付ける役割を果たしているんです。
でも大量の鼻水が出ていたり、黄色や緑の色が付いたものは全くの別物です。
鼻に関する何らかのトラブル疑いましょう。
- 鼻炎
- 副鼻腔炎(蓄膿症)
- 鼻腔内異物
- 歯周病・根尖周囲膿瘍
- ジステンパー
- ケンネルコーフ
- 鼻腔内腫瘍
これらが代表的なものですね。
また鼻水より先に犬のしぐさでも変調に気付くこともありますね。
「前足で鼻の周りをかく」のは、本来はリラックスしたときのしぐさ。
でも何度もしつこく続けていたり、いつも同じしぐさをしているようなら何か問題があるのかもしれません。
鼻に違和感があって気になっていることが考えられますね。
また鼻ではなく口が気になっているのかもしれませんよ。
「鼻先を自分でなめる」のは、本来は不安を感じたり、緊張していたりするときにみられるしぐさ。
気持ちを落ち着けるために無意識に行っているものです。
これが何度も繰り返すようなら、鼻水が出ていて苦しいのかもしれません。
またストレスを感じているときの「常同行動」の1つかもしれませんね。
鼻の症状が進行すると、「前足を鼻で強くこする」、「床に鼻をこすりつける」といった少し違ったしぐさも見られるかもしれません。
これらのしぐさが頻回に見られた場合、まずは鼻を観察してみましょう。
鼻水が出ている、くしゃみが出る、異常な呼吸音がするなどの症状がを見つかるかもしれませんよ。
この場合、何らかの鼻のトラブルを疑いましょう。
ではもう少しくわしく見ていきますね。
透明や黄色、鼻血の場合はどう考える?
犬の鼻水の色でもさまざまなケースが考えられますよ。
犬に限らず、鼻は外気をろ過し、温めて湿気を与えて肺に送る役割を担う気道の入り口です。
この鼻の粘膜が炎症を起こすのが「鼻炎」です。
しかし原因は1つではありません。
まずは一般的なもの。
アレルギーがあれば、ハウスダストや花粉、ほこりなどの異物を除去する反応として鼻水が出ます。
またコショウなどの刺激物や人間用の芳香剤、たばこの煙なども犬にとっては迷惑千万。
同様の反応が出ても不思議ではありませんね。
透明のサラッとした鼻水であれば、比較的重篤なものは少ないでしょう。
でも症状がひどくなると粘り気の強い鼻水が出たり、くしゃみが止まらなかったりすることもあります。
また急激な温度変化や、室内の乾燥も症状を悪化させる原因です。
室温は26度程度、湿度は50~60%に保つようにしましょう。
鼻水が止まらない、またいつものくしゃみとは違うと感じたら、早めに診察を受けましょう。
病院では、消炎剤や抗生物質の投与、点鼻薬などの治療が行われます。
もしかすると他の要因が見つかるかもしれません。
鼻炎が長引くと副鼻腔炎(蓄膿症)に
鼻炎が長引くと慢性的な「副鼻腔炎」に進行し、ひどくなると化膿性の「蓄膿症」になることもあります。
ドロッとした黄色っぽい膿のような鼻水が出たり、呼吸困難になり、鼻の上が腫れたり硬く盛り上がったりすることもあります。
病院では、消炎剤や抗生物質の投与、副鼻腔の洗浄などが行われます。
しかし、とても治りづらいやっかいな状態といえますので、慢性化させないことが何より重要です。
長引く鼻炎には以下の原因も考えられます。
鼻腔内異物に気を付けて
くしゃみでは排出できないような「鼻腔内異物」の可能性が考えられます。
室内のゴミのほか、小石や木の実、植物の種、花びらなどが散歩中に入ることもありますよ。
くしゃみや鼻水が止まらなかったり、鼻血が出ることもあります。
また呼吸音の異常が認められる場合もあるので注意して観察してみましょう。
病院では、異物の除去が行われますが、摘出できない場合は手術が必要になることもあります。
異常を感じたら早めの対処が必要です。
歯周病からの影響も
また鼻そのものではなく、口内の病気が原因であることも考えられます。
「歯周病」では、歯肉が炎症を起こす歯肉炎や歯が抜けたり、膿がたまったりする歯周炎に進行することもあります。
また歯周炎がさらに悪化したり、歯の根元が感染することで「根尖周囲膿瘍」が引き起こされることもあります。
これら歯の炎症が副鼻腔まで広がることも考えられるので注意が必要です。
ほかにも、口臭が強くなったり、食べにくそうにしているなどの様子が観察されることもあります。
口の中を観察してみましょう。
一方、黄色や緑色のネバッとした鼻水が出た場合は何らかの感染が考えられますよ。
また炎症がひどくなって鼻血が混ざったり、あきらかな出血の場合もあります。
これらは重篤な症状と考えられますので決して放置してはいけません。
見逃してはいけない感染症は
「ジステンパー」や「ケンネルコーフ」は決して見逃してはならない感染症です。
これらは子犬や免疫力の弱った老犬では命にかかわることもあります。
決して軽く考えないようにしましょう。
- 病態:ジステンバー・ウィルスが感染し、脳にまで及ぶことがある。
- 症状:発熱、咳、ドロッとした鼻水、目やに、下痢、嘔吐、けいれん、ハードパットなど。
- 原因:犬ジステンバー・ウィルスが病犬との接触や飛沫(くしゃみ)、尿・便などから感染する。
- 治療:特効薬はなく、対症療法のみ。安静と高栄養の摂取。ワクチンでの予防が有効。
- 病態:犬の伝染性気管支炎(犬風邪)数日で。治まることが多いが子犬や老犬では重篤化することも。
- 症状:乾いた強い咳、鼻水や痰(進行例)微熱など。
- 原因:パラインフルエンザ、アデノウィルス2型などが病犬との接触や飛沫(くしゃみなど)から感染する。
- 治療:特効薬はなく、対症療法のみ。保温や保湿を行い、肺炎に進行しないようにする。
鼻出血は重篤なサイン
犬は人間のようにのぼせたり興奮したりして鼻血を出すことはありません。
また鼻の粘膜が傷ついて出血することもまれです。
鼻血(鼻出血)は何らかの病気の症状であることが多いので軽視してはいけませんよ。
中でも気になるのが「鼻腔内腫瘍」です。
喫煙者に飼われている犬が悪性腫瘍(がん)を発症するリスクは、通常の1.6倍とするデータもあります。
特に長頭種は鼻腔内腫瘍にかかりやすいとされています。
片側からの鼻出血が見られる。
鼻の中に詰まったものを出そうとするようなくしゃみをする。
また鼻腔内が狭くなるため「ヒューヒュー」という苦しそうな呼吸音がする。
これらの症状が特徴です。
鼻腔内腫瘍は、悪性(がん)であることが多いと言われますので、早めの対処が必要です。
病院では、腫瘍を切除する手術が行われます。
いかがでしたか?
鼻水や鼻血は重篤な病気のサインかもしれません。
また感染症の場合、他の犬にも感染させてしまう恐れがあります。
いつもと違うと感じたらすぐに診察を受けましょう。